九州大学病院のがん診療

脳腫瘍

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はじめに

脳腫瘍の年間罹患率(1年間に新たに発生する患者の割合)は人口10万人に対して10〜12人程度と推定され、決して頻度が高い疾患ではありませんが、全年代にわたり発生し、特に小児では白血病に次いで多い腫瘍です。

脳腫瘍の中には、手術による完全摘出が得られ、その後の再発の可能性が低い良性脳腫瘍と、周囲の組織に水がしみこむように拡がり(浸潤)、離れた部位に新たに発生する(播種)性質を持ち、治療後にも再発する可能性が残る悪性脳腫瘍に分類されています。代表的な悪性脳腫瘍として、神経膠腫グリオーマ)、悪性リンパ腫髄芽腫、胚細胞腫などが挙げられます。

悪性脳腫瘍に対しては、脳機能を温存する必要があることから、他の部位の癌のような周囲の組織を含めた摘出が不可能な場合が多いため、手術だけではなく抗がん剤を用いる治療(化学療法)や放射線を照射する治療(放射線療法)を組み合わせた治療が必要になります。近年の化学、放射線療法の進歩により、悪性脳腫瘍全般に治療成績の改善が得られており、中には飛躍的に予後が改善されつつある腫瘍もあります。

さらに、悪性脳腫瘍の一部では、最新の遺伝子解析法を応用して、化学療法や放射線治療の効果を予測することが可能となっています。将来的には個々の症例に対して、遺伝子解析の結果を踏まえて、治療法の組み合わせを個別に選択するテーラーメイド医療を目指しています。また、手術に関しても、ニューロナビゲーションシステム覚醒下手術といった新たな手術支援技術を取り入れ、摘出率の向上、ひいては治療成績の改善が得られるようになりつつあります。

九州大学病院では、これらの最先端の研究や機器を駆使し、悪性脳腫瘍に対するより有効な治療を行っています。脳神経外科、放射線科、神経病理の各専門医が協力し、悪性脳腫瘍の診断、治療を包括的に進め、また最先端の研究や技術開発を行っています。以下に当院における悪性脳腫瘍の診断、治療および研究の現状をお示しいたします。ご参照ください。

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