九州大学病院のがん診療

縦隔腫瘍

診断

縦隔腫瘍に特徴的な症状はありません。胸の痛みや圧迫感、咳、息切れなどの症状が比較的多いですが、はっきりした症状がなく健診などで偶然発見されることも多いです。縦隔腫瘍は、発生する部位によって、上縦隔、前縦隔、中縦隔、後縦隔に分けられそれぞれに発生しやすい腫瘍が知られています(表1)。
表1 縦隔腫瘍の発生部位と後発腫瘍
発生部位 好 発 部 位
上縦隔  縦隔内甲状腺腫瘍
前縦隔  胸腺腫瘍、胚細胞腫瘍
中縦隔  気管(支)原性腫瘍、食道腫瘍、悪性リンパ腫
後縦隔  神経原性腫瘍

 

診断には、まず胸部X線やCTによる画像検査を行います。必要な際はMRIPETなどの画像検査を追加し、さらにCTガイド下針生検や胸腔鏡、縦隔鏡を用いた生検にて、腫瘍細胞の性質を調べる検査(組織学的検査)を行う場合もあります。また、血液検査での腫瘍マーカーの測定が診断に役立つこともあります。
用語解説

悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍
神経原性腫瘍 : 交感神経などの神経から発生する腫瘍
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
MRI : 強い磁石と磁気を利用して体の内部を検査する機器
PET : がん細胞だけに集積する検査薬を体内に取り込み専用の装置で体を撮影する画像診断法。
針生検 : 針を用いて肝臓などの体内臓器を穿刺して組織を採取する方法。
腫瘍マーカー : 血中濃度や尿中濃度を調べることにより腫瘍の有無や場所の診断に用いられる物質の総称