九州大学病院のがん診療
腎がん
診断
腎がんの典型的な症状は、腫瘍の進行による血尿、腹部のしこりや疼痛といわれていましたが、近年では健診の普及や医療機器の進歩により、症状が出現するまえに超音波検査やCTなどにより見つかることが多くなっています。
超音波(エコー)検査
被曝の心配もなく、手軽に行えるため、スクリーニングの検査によく用いられます。腫瘍が腎臓の外側にあり突出している場合は小さな腫瘍でも見つかることがありますが、腎臓の中に埋もれていたり、腎臓の内側にある場合は見つけることが難しいこともあります。腎臓の良性腫瘍である腎血管筋脂肪腫では、通常の腎がんと比べて明るく映ることが多く、鑑別に有用なことがあります。
CT
腎がんの診断では、ダイナミック造影CTによる検査が最も有用とされており、正常な腎組織に比べて、がんでは造影剤によって早期に染まって消失していく特徴があります。また、リンパ節や肺などの転移の確認にも有用です。ただし、腎臓の機能が低下している場合は造影剤を使用することができず診断が難しいことがあります。
MRI
CTによる検査で特徴的な腫瘍ではない場合や、腎臓の機能が低下している場合に行うことがあります。
骨シンチグラフィー
腎がんでは骨に転移することもあるため、悪性度の高いがんや進行したがんでは骨転移を確認する必要があります。
腫瘍生検
画像により診断が難しい場合や、手術によってがんの種類を確認できない場合は、超音波またはCTを使用して腫瘍に針を刺して組織を確認します。
用語解説
超音波検査 : 超音波を当て、反射する反射波を画像処理し臓器の状態を調べる検査CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
MRI : 強い磁石と磁気を利用して体の内部を検査する機器
骨シンチ : 骨に集積する薬剤を静注後、シンチカメラで全身および局所のイメージを撮影する核医学画像検査