九州大学病院のがん診療

前立腺がん

院内がん登録情報

前立腺がんのステージ(病期)は、がんの大きさや転移の有無などから下記のように分類されます。

I期→触診または画像検査で、臨床的に明らかでない、もしくは前立腺に限局するが、片葉の1/2以内にとどまる。
Ⅱ期→触診または画像検査で、前立腺に限局するが、片葉の1/2を超えるか両葉に進展する。
Ⅲ期→前立腺被膜をこえて進展する。
Ⅳ期→隣接臓器浸潤、リンパ節転移や遠隔転移がある。

図1は九州大学泌尿器科における2018-2022年の前立腺がんのステージ別症例数、図2はステージ別発見経緯、図3はステージ別治療法を示しています。

ステージⅠ/Ⅱの前立腺に限局しているがんで全体の約7割を占めています(図1)。

がん検診・健康診断・人間ドックで発見された場合、つまり、自覚症状がない段階で発見された場合、早期のステージで発見される割合が高くなります(図2)。

ステージⅠ/Ⅱの前立腺がんに対しては手術または放射線治療が治療の中心です。患者さんの年齢や低悪性度の病巣には、内分泌療法や経過観察といった方針も考慮します。これに対して、ステージⅢは放射線+内分泌治療が主で、ステージⅣの進行前立腺癌においては薬物療法(ホルモン療法や化学療法)が中心となります(図3)。

Kaplan-Meier生存曲線(前立腺)に示すように、ステージⅢまでの生存率は比較的良好ですが、ステージⅣまで進行している場合、生存率が低くなります。

用語解説
病期 : 疾病の経過をその特徴によって区分した時期

前立腺 2018-2022年症例のうち癌腫のみ(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2 ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3 ステージ別治療法(症例20、21、30、31)※重複あり

図4 Kaplan-Meier生存曲線(前立腺)