九州大学病院のがん診療

骨軟部腫瘍

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はじめに

九州大学病院では、整形外科が中心となり骨や軟部組織に発生した腫瘍(骨軟部腫瘍)の治療を行っており、血液腫瘍内科、放射線科、外科、小児科、小児外科、皮膚科などの協力を得て集学的治療による悪性骨軟部腫瘍患者の生命予後の改善と、整容性と機能性に優れた患肢温存治療の実践に大きな力を入れています。骨軟部腫瘍の診療は整形外科では4名の専門医師が担当しており、新患の受付は月、水、金の午前中で、腫瘍専門再来は月曜午後となっています。整形外科での腫瘍症例数は年々増加しており、平成26年度の腫瘍関連手術件数は157件を数えました。以下に診療内容について簡単に説明します。

悪性軟部腫瘍

脂肪肉腫、未分化多形肉腫、平滑筋肉腫滑膜肉腫などが代表的な腫瘍です。外来で特殊な針を用いて、もしくは手術室で組織を一部採取して診断をつけます(これらを生検といいます)。治療は外科的治療が主体で、ほとんどの症例で切断することなく、患肢温存手術を実施しています。粘液型脂肪肉腫などで深部に発生して神経や血管と接している場合には、手術前に温熱療法と放射線療法を併用することで神経および血管を温存する術式を行って、良好な成績を収めています。また、悪性の程度が高い場合には、血液腫瘍内科と共同で抗がん剤を用いた化学療法を行っています。悪性骨軟部腫瘍は比較的稀であるため、治療成績改善のために全国規模の臨床研究も行っています。成人で頻度が高い高悪性度軟部肉腫に対しては、九州大学が主体となり、術前および術後の化学療法の効果を検討する多施設共同研究を実施致しています(JCOG0304-登録終了)(JCOG1306-登録中)。

悪性骨腫瘍

骨肉腫軟骨肉腫ユーイング肉腫などが主な腫瘍です。骨腫瘍の場合は、ほとんどの場合手術室で組織を採取して診断を確定します。悪性度が高い骨肉腫ユーイング肉腫では、手術治療に加え、術前および術後の化学療法が必須の治療となります。骨肉腫に対しては、過去に行われた多施設共同研究に基づく化学療法(NECO-95J)を実施し、良好な治療成績を得ることができました。平成22年からはNECO-95Jの結果を基に新たに作成した治療方法(JCOG0905)を開始しています。小児では骨肉腫に次いで頻度の高いユーイング肉腫に対しては、VDC+IEレジメンによる治療を行い良好な成績を得ています。また、通常の化学療法のみでは治療しにくいハイリスク・ユーイング肉腫の症例に対しては、末梢血幹細胞移植(PBSCT)を併用した高用量化学療法も実施しています。手術に関しては、骨腫瘍においてもほとんどの症例で患肢温存手術を実施しています。悪性骨腫瘍の広範切除後には、大きな骨欠損が生じることが問題となりますが、腫瘍用人工関節、同種骨あるいはパスツール処理骨移植血管柄付腓骨移植等によって再建を行い、良好な術後患肢機能の獲得をはかっています。軟部組織の欠損に対しても、各種の皮弁形成術等による再建を行っています。

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