九州大学病院のがん診療

多臓器腫瘍

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はじめに

がんの治療には大きく内科的治療(抗がん剤)、外科的治療(手術)、放射線治療があります。以前より大腸がんにおいては転移があっても手術可能であれば切除したほうが長期生存が得られることが知られていましたが、それぞれの治療法の進歩により、転移があってもconversion therapy(切除不能だった転移巣の治療が奏効し、根治切除可能となること)可能となる患者さんが増え、長期間の生存が得られるようになってきています。このように治療が奏効した場合、長期延命を目指して他の治療法に変更すべきか、そのまま治療を継続するのか判断を迫られることになりますが、ひとつの診療科だけでは判断に苦慮します。

転移を有する患者さんに対してどの治療法がもっとも適切であるのか、治療内容が進歩し、より複雑化した現在のがん治療においては単独の診療科で判断するのは困難であり、より容易に議論を出来る場として多臓器腫瘍部会が設置されました。

関係診療科・部門

内科(血液・腫瘍内科、消化管内科)、外科(消化器・総合外科、臨床・腫瘍外科)、放射線科、泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科、顔面口腔外科、病理診断科、薬剤部、九州大学がんセンター、看護部

当部会での検討内容

多臓器腫瘍部会は2014年9月26日に第1回目が開催され、以後毎週金曜日に開催しています。2015年11月末日までに計60回開催しておりますが、図1、図2がその検討内容になります。

多くは消化器がんを対象に手術の是非、化学療法の内容、放射線治療の適応などを内科系、外科系、放射線科としての視点から議論を交わし、最適な治療方針の選択を目指しています。

検討症例の内訳は図1の通りで消化器がんが多いのですが、原発不明がんや肉腫などについても検討を行っています。

また検討内容は図2の通り手術・放射線・化学療法・放射線化学療法についてですが、診断がなかなかつかない患者さんに対する診断を目的とした画像検査・生検についても検討を行い、診断・治療につき幅広く議論を重ねています。

食道がんについてはStage Ⅰの症例に対しては根治的化学放射線療法は手術と同等の治療効果であり、StageⅡ、Ⅲの症例に対しては術前化学療法が標準治療に組み込まれ、またどのStageにおいても緩和的放射線(化学療法)の適応となることから集学的治療の対象となる患者さんが多く、検討症例が多くなっています。

大腸がんについては先述の通り手術できなかった症例が手術できるようになり、手術にconversionするのか化学療法を継続するのか検討を行う症例や、あるいは診断時に大腸の狭窄が進行しており、化学療法を行うべきか、先に原発巣を切除ないし人工肛門を造設した後に化学療法を開始したほうが良いのか検討を行う症例も多くみられます。

胃がんについては腹膜播種に伴う腸閉塞に対するバイパス術、出血に対する手術・放射線治療の適応などにつき検討を行っています。

まとめ

がんの治療の進歩に伴い、またがんの進行による病状の変化に対し、複数の診療科で検討を行い、最適な医療を提供できるよう今後も努めていきます。