がんセンターについて

部門紹介

外来化学療法とは?

薬剤の開発や副作用の軽減などの医療の進歩によって、外来でも安全にがん治療を受けることができるようになりました。外来化学療法を利用することにより、患者さんは自宅で生活を送り、ご家族の援助を受けながら、がん治療を受けることが可能になりました。

九州大学病院では、平成16( 2004) 年12月に外来化学療法室を開設し、現在では様々な疾患の患者さんが当施設を利用して、外来化学療法を受けています。(図1,2参照)。

九州大学病院外来化学療法室スタッフ

九州大学病院の外来化学療法室には、専属の医師2名、看護師8名、薬剤師3名が勤務し、多くの診療科からの治療依頼を受け、様々ながん化学療法を行っています。がんセンタ―を始めとした多くのがん治療専門医、看護師、社会福祉士と連携し、患者さんに適切で安全ながん治療の提供に努めています。

外来化学療法室施設概要

外来化学療法室には、電動ベッドが11床、電動リクライニングチェアが10床整備され、テレビやDVDプレーヤーが完備されています。患者さんが安心、快適に治療が行えるように充実した設備を整えています。

治療を受ける患者さんの看護

がん化学療法は、吐き気や気分不良などの身体症状を伴うことがあります。このような治療の副作用をできるだけ少なくするために、化学療法を専門とした看護師が患者さんの体調をきめ細かく観察し、できるだけ副作用が少なくなるように患者さんを援助します。また、患者さんに病気や治療法をよく理解してもらうために丁寧な説明をすることも治療の不安を和らげるために大切なことだと考えており、多職種からなるスタッフによるきめ細やかな説明を行っております。

外来化学療法室調製室

がん化学療法で最高の治療成果を上げるためには正確な抗がん剤の調製が不可欠です。九州大学病院外来化学療法室には、薬剤師が3 名常駐し、高い技術と最新の知識をもって正確な抗がん剤調製を行っています。手袋、ガウン、マスクを着用し、抗がん剤曝露を避けるとともに安全キャビネットという装置を使って無菌的な調製を行います。

外来化学療法室に所属する薬剤師は、医師が処方した薬を調剤するだけではなく、医師や看護師と協力しながら、患者さんに正しい薬が正確に投与されるかを確認する作業を行い、患者さんが安心して治療が受けられるように最善の努力をしています。また、がん治療薬に関する新しい情報を調べ、常に質の高いがん治療法を提供できるように努力することも薬剤師の務めです。

外来化学療法の安全管理と緊急対応

化学療法の実施においては何よりも安全管理が重要です。

外来化学療法の治療スケジュール( レジメン)は全て登録制となっており、レジメンを審査する委員会で承認を得て使用しています。登録されたレジメンは電子カルテシステムからオーダーが可能となり、抗がん剤の投与スケジュールの過誤や過量投与の防止に役立っています。

実際に患者さんに投与する前には薬剤師が処方内容を二重でチェックすることで入念な確 認を行っています。治療中の患者さんの状態については常に看護師が確認していますが、稀に抗がん剤による重度のアレルギー反応や皮下への点滴漏れがおこることがあり、緊急の対応が必要となります。このような事態が生じた場合、当院の外来化学療法室では各科の主治医に連絡するとともに重度のアレルギーの場合は救急部医師へ、点滴漏れの場合は皮膚科医師へ連絡することをルール化しており、迅速かつ適切な対応を心がけています。