>がんに関するQ&A

乳がん

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乳がん検診を受けたいのですが、どうしたら良いでしょうか。
乳がん検診(住民検診)は40歳以上を対象に隔年(2年に一回)行うことになっています。問診・視触診と乳房X線検査(マンモグラフィ)の併用が基本です。乳がん検診を受けられる場所・検診実施機関や日時、料金については、各地方自治体(都道府県、市町村、特別区)の保健課、保健所などに問い合わせてください。また、乳がん検診は職場検診や人間ドックなどで受けられる場合もあります。問診、視触診、乳房X線検査(マンモグラフィ)、乳房超音波検査などが行われます。
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乳がんの症状はどのようなものでしょうか。
乳がんの症状には以下のようなものがあります。
1)乳房のしこり
乳がんの最も多い症状はしこりです。乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分でわかるしこりになります。しかし、しこりがあるからといってすべてが乳がんであるというわけではありません。 また、最近では検診や診断の進歩によりしこりになる前の非常に早期の乳がんも発見されるようになっています。
2)乳房のえくぼなど皮膚の変化
3)乳頭からの分泌、乳頭の陥凹
4)月経周期と関係のない乳房の痛み
5)乳頭のびらん、ただれ
6)脇の下や鎖骨の上下のリンパ節の腫れ
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乳房が時々痛むのですが、がんでしょうか。
乳房の痛み(乳房痛)は多くの女性が経験する症状です。たとえば、月経前症候群の症状として月経の直前や月経中に痛くなったり、妊娠初期に痛くなることもあります。経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法も同様の痛みの原因となります。これらの痛みは女性ホルモンの変化で生じるとされ、乳房を触ったり押さえたりすることで痛みが強く感じられます。両側のときも片側のときもあります。乳腺症や乳腺の嚢胞(のうほう)、乳房の炎症なども乳房の痛みの原因となります。乳癌によって乳房に痛みが生じることはあまり多くありませんが、月経周期と無関係の乳房の痛みが1カ月以上続く場合は医師の診察を受けることを勧めます。
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乳がんの自己検診とはどのようにしたら良いでしょうか。
乳がんは、体の表面近くにできるため、自分で早い時期に見つけられるがんです。早期発見で乳がんの90%以上は治癒します。毎月1回自己検診を行いましょう。閉経前の人は、乳房があまりはっていない月経が始まって7—10日後ぐらい、また閉経後の人は毎月、日を決めて行うとよいでしょう。
1 鏡の前でよく見る
両腕を自然に下げたまま、次のことを調べます。左右の乳房の形や大きさに変化がないか。乳首のどこかに皮膚のへこみやひきつれはないか。乳首がへこんだり、ただれができていないか。次に両腕を上げた状態で、上記と同じことを調べます。
2 よくさわってしこりの有無を調べる
仰向けに寝て、あまり高くない枕やタオルなどを背中の下に入れます。左手を頭の下に入れます。右手の指をそろえてのばし、左乳房の内側(乳首よりも内側) にのせ、指の腹を胸の中央部に向かって、柔らかく、しかもしっかり滑らせるようにし、しこりの有無をまんべんなく調べます。次に乳房の外側の部分を外から内に向かって、柔らかく、しっかりと指を滑らせて調べます。右乳房も同様の方法で調べます。
注意
乳がんの自己検診を行う時は、指先で乳房をつままないようにすることが大切です。
3 わきの下のリンパ節と乳頭をチェック
起き上がり、右手の指をそろえてのばし、左ワキの下に入れてしこりがあるかどうか指先で確かめます。右のワキの下についても同様の方法で調べます。左右の乳首を軽くつまんで、乳を搾るようにし、血液の混じった分泌物が出ないかどうかを確かめます。
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乳首からときどき血が出るのですが。
乳頭からの血性、血液性の分泌は乳癌の発見の手がかりとしてとても重要です。特にしこりを伴わない血性、血液性の乳頭分泌は非浸潤癌という極めて早期の乳癌の発見に役立ちます。ただし多くの血性分泌も乳腺症や乳管内乳頭腫など良性であることがほとんどです。ただし血性分泌がある場合は必ず乳腺の専門医の診察を受けてください。
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乳房にしこりがあります。痛くはないのですが、放置していて良いですか。
乳房のしこりの多くは乳がんではありません。しかし、中には乳がんの場合もあるため、自己判断で放置することは危険です。しこりに気づいた場合はただちに医師の診察を受けるべきです。
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乳がんの治療方法について教えてください。
乳がんの治療には、外科療法、放射線療法、薬物療法があり、これらを適切に組み合わせて行います。外科療法と放射線療法は治療を行った部分にだけ効果が期待できる「局所療法」であり、薬物療法は「全身療法」として位置づけられます。
乳がんの標準治療は病期(ステージ)やがんの拡がり、がんの性質によって異なります。担当医に十分な説明を受けて下さい。
0期
乳房切除術、または乳房部分切除術と放射線照射を行います。術後にホルモン療法を行うこともあります。
I期〜IIIa期
手術が可能な乳がんです。しこりの大きさによって術式(部分切除術、または乳房切除術)が選択されます。手術で切除した標本の病理組織学的検査によって、がんの大きさ、わきの下のリンパ節転移の数、がんの悪性度(グレード)、ホルモン受容体、HER2というがん遺伝子産物の発現の有無などを調べ、再発の危険性を評価し、再発を予防する目的の薬物療法(術後薬物療法)を行います。また、術後に放射線療法を行う場合もあります。最近では抗がん剤治療(術前化学療法)を行い、手術をその後に行うことがあります。
IIIb、IIIc期
原則として手術ではなく、薬物療法による全身治療を優先する乳がんです。薬物療法、放射線療法を行ってしこりが小さくなり、手術が可能になれば手術を行う場合もありますが、この病期における手術の意義はまだはっきりしていません。
IV期
この病期は全身にがんが拡がっている状態なので、手術によって乳房をとることには意味がありません。ホルモン剤や抗がん剤など薬の治療すなわち全身治療を行い、がんの進行を抑え、がんによる症状を抑えます。腫瘍からの出血、骨転移や脳転移などによる部分的な症状を和らげるため、放射線照射や手術が行われることもあります。
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乳がんの手術にはどのような方法がありますか。
乳がんの手術で重要なポイントは、1.腫瘤のある乳腺をどのように切除するのか、2.リンパ節はどの程度とらなければならないか、ということです。大きく分けて、乳房に対しては部分切除(温存手術)もしくは(全)切除があり、リンパ節に対してはセンチネルリンパ節(見張りリンパ節)生検を行う方法と腋窩リンパ節郭清(わきの下の領域リンパ節をすべて切除すること)をする方法があります。したがって、術前検査での病変の広がりやリンパ節転移の有無、その他全身状態などを考慮して術式を決定することになります。
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乳房再建術について教えてください。
乳房再建は、手術によって失われた乳房を,乳腺外科と形成外科の連携によって再建する方法です。乳房を再建することで精神面や肉体面のさまざまな問題が改善することもあり、ご希望に応じてご相談しています。
乳房を再建することで再発が増えたり、再発の診断に影響したりすることはありません。しかし、乳房再建の方法(人工乳房もしくは自家組織)や時期(一次再建もしくは二次再建)、抗がん剤治療や放射線療法との関係など、検討すべき課題がたくさんあります。再建をご希望になる方は、手術前にご希望を担当医にお伝えください。
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乳房の同時再建はできますか。
当院では、同時再建(一次再建)が可能です。一次再建とは、がんの切除手術と乳房の再建を同時に行う方法で、乳腺外科と形成外科の連携によって行われます。乳房再建は大きく分けて、人工乳房(インプラント)による方法と自家組織(からだの一部の組織を胸に移植(移動)する方法)による方法がありますが、手術前に十分なご相談が必要です。再建をご希望になる方は、手術前にご希望を担当医にお伝えください。
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乳がんの内視鏡手術はできますか。
当院では、内視鏡手術が可能です。内視鏡手術では通常、乳輪周囲とわきの下の2か所の小さな小切開創から手術を行います。乳腺内視鏡手術の歴史は1995年ごろから始まり、当院では2007年より導入しています。これまでに100人以上の患者さんに受けて頂きました。ご希望の際は、担当医にご相談ください。
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乳がんの手術を受けた場合、どのような障害が残りますか。
手術創部のしびれ、疼痛、変形、同側上肢の知覚異常(しびれ)、運動障害、浮腫などがあります。個人差(体格差、年齢差など)があり、その程度や期間に大きな違いがあります。また、必ず起こるものではなく、手術の内容によっても異なります。
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センチネルリンパ節生検とはどのようなことでしょうか。
わきの下の領域リンパ節(腋窩リンパ節)の中で、腫瘍(乳腺にある原発巣)からのリンパ流が最初に到達するリンパ節をセンチネルリンパ節(見張りリンパ節)と呼んでいます。もっとも転移の可能性の高いリンパ節と考えられます。センチネルリンパ節を見つける診断法として、色素を注入する方法(色素法)と放射性同位元素を注入する方法(RI法)、その併用法があります。九州大学病院では併用法を行っています。
検査は、手術前日か手術当日朝に、テクネシウム 99m (99mTc)というアイソトープで標識したコロイドと呼ばれる粒子(99mTc標識コロイド)を、乳輪の周りに数カ所注射します。手術中には青い色素(染料)・インジゴカルミンをがんの近傍または乳輪に注射します。そのあと放射性同位元素(RI)が集まっている青く染まったリンパ節を取り出し、すぐに顕微鏡でがんの転移があるかどうかを調べます(術中迅速病理診断)。センチネルリンパ節へのがん転移の有無とその他の手術中の所見を総合して、腋窩リンパ節郭清を行うか否か決定します。
併用法によるセンチネルリンパ節の同定率は約97%で、いずれの方法を用いても同定できない場合にはリンパ節郭清を行うことになります。手術によるリンパ節切除の範囲をできるだけ狭くすることで、手術創を小さくし美容的な問題、機能的な問題、リンパ浮腫などの合併症を軽減することができます。
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できるだけ乳房を残してほしいのですが。
日本乳癌学会の2003年ガイドラインでは、1.腫瘍径3cm以下(整容性が保たれれば3cm以上でも可能)、2.放射線治療が可能、3.乳房温存の希望、といった条件が満たされるとき、温存療法の適応があると表記されています。しかし、「乳房を残す」すなわち「乳房を温存する」という表現は曖昧な部分が多く、厳密には定義されていません。たとえば、乳頭・乳輪は残さなくても良いのか?乳房の何%残せば温存と言えるのか?などです。「できるだけ乳房を残したい」という意志は尊重されなければなりませんが、できるだけがんを残さないようにしなければならないこと(根治性)とできるだけ変形を少なくすること(整容性)は重要です。種々の検査で病変の広がりを診断し、最小限の切除にとどめなくてはなりません。ケース・バイ・ケースですので、担当医にご相談ください。
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乳がんの化学療法について教えてください。
乳がんの化学療法には、様々な抗がん剤が用いられます。代表的なものはアンスラサイクリン系(アドリアマイシン、エピルビシンなど)、タキサン系(ドセタキセル、パクリタキセル)、ビノレルビン、CMF療法、5-FU系経口抗がん剤(TS-1、カペシタビン)などがあります。薬によって症状や重篤度は異なりますが、多かれ少なかれ副作用が予想されます。また副作用は個人差があります。薬物療法を受ける場合には、薬物療法の目的、期待される治療効果、予想される副作用とその対策などについて十分な説明を受け、理解することが大切です。
化学療法は細胞分裂のいろいろな段階に働きかけてがん細胞を死滅させる効果があり、乳がんは比較的化学療法に反応しやすいがんとされています。化学療法はがん細胞を死滅させる一方で、がん細胞以外の骨髄細胞、消化管の粘膜細胞、毛根細胞などの正常の細胞にも作用し、白血球、血小板の減少、吐き気や食欲低下、脱毛などの副作用があらわれます。

新しい分子標的療法 ; ハーセプチン
乳がんのうち20%〜30%は、乳がん細胞の表面にHER2タンパクと呼ばれるタンパク質をたくさん持っており、このHER2タンパクは乳がんの増殖に関与していると考えられています。最近このHER2をねらい撃ちした治療法(分子標的療法)が開発され、乳がん治療を大きく変えました。ハーセプチン治療はHER2タンパク、あるいはHER2遺伝子を過剰に持っている乳がんにのみ効果が期待されます。術後の補助療法および転移性乳癌として使われます。 
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乳がんのホルモン治療にはどのようなものがありますか。
ホルモン療法は、ホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)を発現しているがんが対象となります。約7割の乳がんはホルモン受容体を持っており、ホルモン受容体を有する乳がんは女性ホルモン(エストロゲン)の刺激ががんの増殖に影響しているとされます。
ホルモン療法には抗エストロゲン剤、選択的アロマターゼ阻害剤、黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤(LH-RHアゴニスト)などがあります。「タモキシフェン」は代表的な抗エストロゲン剤であり、女性ホルモンのエストロゲン受容体への結合を阻害します。選択的アロマターゼ阻害剤の作用機序は、アロマターゼの働きを抑え、閉経後の女性において女性ホルモンの産生を抑えます。閉経前の場合では、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑える黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤(LH-RHアゴニスト)を使用します。
ホルモン療法の副作用は、化学療法に比べて一般的に極めて軽いのが特徴ですが、タモキシフェンの長期間使用者では子宮がんや血栓症のリスクが、選択的アロマターゼ阻害剤の場合には骨粗鬆症のリスクが高まります。
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