九州大学病院のがん診療

膀胱がん

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はじめに

膀胱がんは、2011年の日本のがん統計では、10万人当たり男性21.5人、女性4.3人が罹患しており(病気にかかった人の数)、男性に多く、泌尿器系がんの中で前立腺がんに次いで2番目に多いがんです。年次推移の統計では、死亡者総数は年々増加しているものの、これを年齢で補正した死亡率で横ばいであることより、死亡者の増加は社会の高齢化によるもので、膀胱がんは近年、発生リスクを増加しておらず、また早期発見や治療法の進歩による治療の改善もあまり進んでいないことが示されています。

膀胱がんの原因として、喫煙が最も重要で、現在喫煙している人は吸わない人に比べ4倍、過去に喫煙した人は2.3倍膀胱がんになりやすいことが判明しています。喫煙と膀胱がんは一見関係がないと思われがちですが、タバコの煙の発がん物質が、全身を回った後、濃縮されて尿中に排泄され、膀胱の粘膜が慢性的に発がん物質と接触してがんが発生すると考えられています。現在の膀胱がんの患者の約半数は、喫煙が原因であるという統計結果も出ており、禁煙が膀胱がんの予防に最も大切です。

膀胱がんの症状として典型的なものは、血尿で、80%以上の患者さんに認められます。患者さんご自身が赤い色のついた尿が出ることに気づき、病院を受診されることも多く、また、検尿異常により泌尿器科を紹介され膀胱がんが見つかるケースもあります。ただ、多くの場合は、排尿する際の痛みなどの症状がないため、受診が遅れてしまうことも少なくありません。

膀胱がんの診断は、検尿、膀胱鏡、尿細胞診、膀胱エコー、排泄性尿路造影、CTMRIなどで行います。最終的には下記手術で、がんの組織を摘出し、顕微鏡でがん細胞であることを診断する病理検査によって行います。

膀胱がんの治療は、病気の広がりと深さによって大きく異なります。膀胱は粘膜とその下の筋肉層からできていますが、がんが筋肉まで広がっていない場合は、経尿道的な内視鏡手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)で治療します。これは、尿道から電気メスのループのついた内視鏡を入れ、がんを削り取る手術で、通常1〜2週間の入院で済みます。しかし、この手術が上手く行えても、膀胱内に再発する率が50%前後と高いため、何度もこの手術を受けなければならない患者さんも多くいます。また、膀胱の筋肉層までがんが広がっている場合は、膀胱を全部摘出する大がかりな手術が必要です。この場合、小腸などを使って、尿が出る人工肛門のようなストーマを作成したり(回腸導管)、腸で代用膀胱(新膀胱)を作成したりして、尿を出す方法(尿路変向)を考えなくてはなりません。また、転移がある場合は、抗がん剤による化学療法が標準的な方法で、骨に転移があり、痛みが強い場合は、その部位に放射線を照射したりします。

九州大学病院では、泌尿器科、放射線科、形態機能病理の専門医が膀胱がんの診断と治療を包括的に行っています。以下に当院における膀胱がんの診断、治療と、新しい治療の確立を目指した臨床研究・治験についてお示しします。膀胱がんの治療を受ける患者さんにとって有益な情報を提供できれば幸甚に存じます。

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