九州大学病院のがん診療

腎がん

内科的治療

転移を有する腎がんや再発した腎がんで、転移巣が摘出できない場合には、薬による治療が必要となります。腎がんには抗がん剤や放射線治療がほとんど効かないため、これまでインターフェロンαやインターロイキン2などの免疫療法を行ってきましたが、奏効率は概ね15〜20%で、決して満足できるものではありませんでした。ところが、2008年から、「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」に対して様々な‟子標的薬”が承認され、これらの薬による治療が可能となりました。分子標的薬とは、がん細胞の増殖にかかわる分子(タンパク質)に作用して抗腫瘍効果を発揮する薬物で多くのがんに用いられています。

近年、癌に対する免疫を調節してがんをたたく‟免疫チェックポイント阻害薬”が多くのがんで効果的であることが報告され、腎がんに対しても2016年から使用できるようになりました。免疫チェックポイント阻害薬では、これまでにない副作用が出現することもあり、専門の医師に相談しながら治療をすることが必要です。

分子標的薬には
1.チロシンキナーゼ阻害薬;スーテント(スニチニブ)、インライタ(アキシチニブ)、ネクサバール(ソラフェニブ)、ヴォトリエント(パゾパニブ)
2.mTOR阻害薬;アフィニトール(エベロリムス)、トーリセル(テムシロリムス)

免疫チェックポイント阻害薬には
3.抗PD-1抗体;オプジーボ(ニボルマブ)、キートルーダ(ペムブロリズマブ)、バベンチオ(アベルマブ)などがあり、保険診療として使用できるようになりました。
4.抗CTLA-4抗体;ヤーボイ(イピリムマブ)

また、骨に転移を認める腎がんでは、がんの進行による骨の破壊を防止するため、ゾメタ(ゾレドロン酸)やランマーク(デノスマブ)を使用することがあります。これらの薬剤は、骨転移による痛みを緩和する、または症状がでることを遅らせる作用はありますが、がんを抑えるためのものではありません。

放射線治療

腎がんは放射線が効かないことが多いため、放射線治療を行うことはあまりありません。しかし、骨に転移して骨折の可能性がある場合、神経症状や痛みを伴う場合には、症状に対して放射線治療を行うことがあります。

凍結治療

腎がんの根治療法の第一選択は外科的治療ですが、高齢者や重篤な合併症のため外科的切除が難しい場合は、腫瘍に針を挿入してがん細胞を凍結死滅させる凍結療法があり、本邦では2011年7月から凍結療法が保険治療として認められています。九州大学病院でも2014年5月から凍結療法による治療が可能となっています。
用語解説

インターフェロン : 体内で腫瘍細胞など異物の侵入に反応し細胞から分泌されるタンパク質のこと
分子標的薬 : 癌に関与する遺伝子や遺伝子産物を標的とした薬剤による治療法。
免疫チェックポイント阻害薬 : 免疫療法のひとつ。がん細胞により抑制されていた免疫機能を活性化させる。