九州大学病院のがん診療

胆道がん

はじめに

胆道がんは、胆汁の通り道である❝胆道❞にできるがんの総称であり、胆管がん・胆嚢がん、十二指腸乳頭部がんにより構成されます。部位別がん死亡数では、膵がん(4位)、肝臓がん(5位)に次いで、6番目に多いとされています。胆道がんは、発生部位(胆嚢、肝内胆管、肝門部領域胆管、遠位胆管、十二指腸乳頭部)によって症状や発見契機が異なり、最近では遺伝子異常の背景も部位によって異なることが分かってきました。胆道がんの診断には、腹部超音波(US)検査CTMRI検査、超音波内視鏡検査(EUS)といった画像検査が中心となり、その精度は年々向上しています。更に閉塞性黄疸を合併した場合は、内視鏡的膵胆管造影検査(ERCP)による胆道ドレナージが必要となります。ERCP困難症例に対するEUS下胆道ドレナージ(EUS-BD)などの新たなドレナージ法も登場しました。胆道がんでは外科手術や化学療法を安全に行うために、適切な胆道ドレナージが重要となります。

治療の第一選択は外科手術であり、発生部位により選択される術式が異なります。手術が難しい場合に、症例に応じて放射線治療や化学療法が選択されます。切除不能胆道がんに対する全身化学療法は、ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法(GC療法)、ゲムシタビンとS-1の併用療法(GS療法)、またはゲムシタビンとシスプラチンとS-1の併用療法(GCS療法)が標準治療として推奨されています。更に近年免疫チェックポイント阻害薬であるデュルバルマブが保険適応となり、新たな治療選択肢となりました。胆道がんでは遺伝子異常を背景に有する割合が比較的高く、遺伝子パネル検査も重要となります。

九州大学病院では難治癌と言える胆道がんを克服すべく、全ての診療科や職種が協力して、正確な診断と適切な治療に取り組んでいます。以下に当院における胆道がん診療の現状に関するデータをお示しします。内科的治療、外科的治療、放射線治療などがまとめられており、胆道がんの治療を受けようとされる患者さまにとって貴重な情報を提供できるよう尽力しています。是非ご一読ください。

用語解説

超音波検査 : 超音波を当て、反射する反射波を画像処理し臓器の状態を調べる検査
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
MRI : 強い磁石と磁気を利用して体の内部を検査する機器
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法