九州大学病院のがん診療

胆道がん

はじめに

胆道がん(胆嚢がん・胆管がん・十二指腸乳頭部がん)のわが国における罹患率は2016年で人口10万人あたり19.5人と推定されています。年間死亡者数は約2万人(18,237人(2018年))、全悪性新生物の約5%にあたり頻度はそれほど多くはありませんが、早期発見が難しく予後が悪いことが特徴です。
胆嚢がんはやや女性に多く、一方胆管がん、十二指腸乳頭部がんは男性に多い傾向が見られます。胆管がんの初発症状は黄疸(90%)で、体重減少、腹痛と続き、胆嚢がんは右上腹部痛(50〜80%)、黄疸、悪心・嘔吐、体重減少、乳頭部がんは胆管がんと同じく黄疸、発熱、腹痛で、無症状でも検診の腹部超音波検査や内視鏡検査で発見されることもあります。治療は外科手術が第一選択ですが、早期の診断が難しいことから切除不能となることも少なくありません。全国集計による切除率は胆嚢がん69%、胆管がん70%、乳頭部がん89%、根治につながる治癒切除は胆嚢がん47%、胆管がん47%、乳頭部がん87%となっています(J Hepatobiliary Pancreat Surg.2009 ; 16(1) : 1-7.)。切除不能胆道がんに対する全身化学療法は、ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法(GC療法)、ゲムシタビンとS-1の併用療法(GS療法)、またはゲムシタビンとシスプラチンとS-1の併用療法(GCS療法)が標準治療として推奨されています。

用語解説

超音波検査 : 超音波を当て、反射する反射波を画像処理し臓器の状態を調べる検査。
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法
GC療法 : 塩酸ゲムシタビン+シスプラチン併用療法