九州大学病院のがん診療

がん薬物療法部会

はじめに

近年のがん薬物療法の進歩はめざましく、殺細胞性抗がん薬に加え、分子標的治療薬免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)など、新たな作用機序の抗がん薬が増え、それに伴い副作用も複雑化・多様化しています。
患者がより有効かつ、安全ながん薬物療法の恩恵を受けるためには、副作用を適切に評価・管理することが重要です。特に、ICIはこれまでの抗がん薬では経験しなかった、特徴的な副作用である免疫関連有害事象(immune related adverse event:irAE)が発症することが知られています。ICIを基軸とする併用療法が次々に臨床導入されている昨今、既知の抗がん薬の副作用をはじめ、irAEに対応するには、職種・診療科横断的な連携が不可欠です。
このことから、がん薬物療法に関する包括的な副作用管理、および医療従事者の有機的な連携を図るため、「がん薬物療法部会」を設置することになりました。がん薬物療法部会は、抗がん薬による副作用の軽減、重篤な健康被害の未然防止を図り、抗がん薬の適正使用推進をもって、安全・安心ながん薬物療法を提供することを目指しています。

用語解説

分子標的治療薬 : 癌に関与する遺伝子や遺伝子産物を標的とした薬剤による治療法
免疫チェックポイント阻害薬 : 免疫療法のひとつ。がん細胞により抑制されていた免疫機能を活性化させる