網膜芽細胞腫

腫瘍が網膜を突き破り硝子体全体に散らばったり、前房や眼窩への浸潤の疑いがある重症眼では眼球摘出を行います。摘出後、結膜嚢を形成し、義眼を装用します。

脈絡膜悪性黒色腫（ぶどう膜悪性黒色腫）

15mmを超える大型の腫瘍や視神経浸潤が疑われる場合、視力の温存が困難な場合は眼球摘出が推奨されます。摘出後、結膜嚢を形成し、義眼を装用します。基本的に眼球を温存して腫瘍のみを摘出する手術は行いません。

眼内悪性リンパ腫

眼内悪性リンパ腫は眼科領域では予後不良な疾患であるため、早期の確定診断のため硝子体手術による生検を行います。

眼周囲（結膜、眼瞼、眼窩）の悪性リンパ腫

診断のために部分切除を行います。低悪性度リンパ腫の場合、一塊摘出で治療を終了することや切除せず冷凍凝固で治療する場合もあります。

眼瞼癌

３〜５mmの安全域をもうけた眼瞼の切除、病状により術中冷凍凝固を行います。眼瞼の欠損は上下対側の眼瞼、耳介軟骨や口唇粘膜、外嘴切開、前額皮弁などを利用して形成します。

結膜癌と結膜悪性黒色腫

冷凍凝固や薬物治療で腫瘍を縮小させた後に切除、あるいは拡大切除を病状に応じて選択します。結膜欠損が大きい場合は羊膜または口唇粘膜の移植を行います。瞼結膜の腫瘍では眼瞼の切除となるため眼瞼癌と同様の形成的処置を行います。

涙腺癌

眼の耳上側皮膚を切開、眼窩側壁の骨を切除、腫瘍を摘出し、切除した骨片を再び縫合します（外方アプローチ）。または当院脳神経外科で開頭して眼窩上壁の骨を切除して行います（経頭蓋底アプローチ）。

用語解説

悪性黒色腫　：　色素細胞（メラノサイト）の癌化によって生じる悪性腫瘍
悪性リンパ腫　：　リンパ系組織から発生する悪性腫瘍
冷凍凝固　：　裂孔部分を冷凍して炎症 を発生させ、裂孔を塞ぐ方法
羊膜　：　羊膜は妊婦の子宮内にある胎盤の一部で、胎児を包み、羊水を保持している薄い膜