九州大学病院のがん診療

胆道がん

外科的治療

胆嚢がん

深達度に従い、粘膜固有筋層(mp)までの胆嚢がんには胆嚢全層切除術を、漿膜下層(ss)以上の浸潤をみとめる胆嚢がんには、リンパ節郭清を伴う胆嚢床切除を行っています。2022年に胆嚢がんに対する腹腔鏡下手術が保険適応となったのを受け、当院では腹腔鏡下での胆嚢がん切除も積極的に行っております。高度に進行した胆嚢がんでは、個々のがんの進行状況に応じて肝右葉切除や肝外胆管切除、隣接臓器の合併切除を行い、がんの根治を目指しています。

肝外胆管がん

胆管に沿ったがんの部位に従い、遠位胆管がんには膵頭十二指腸切除術+リンパ節郭清術を、肝門部領域胆管がんには根治性を重視した肝切除(拡大左もしくは右肝切除+尾状葉切除)を基本術式にしています。遠位胆管がんでは、腹腔鏡下やロボット支援下での膵頭十二指腸切除術+リンパ節郭清も行っております。胆管上の広がりが遠位胆管より肝門部領域に至る場合は肝葉切除+膵頭十二指腸切除が必要となります。また、肝門部領域胆管がんでは肝門の血管への浸潤を高頻度に認めますが、浸潤血管の合併切除・再建を行うことで切除率の向上に努めています。術後は、最新の臨床試験の結果を受けてS-1を半年間内服いただき、再発を予防します。最近では、がんの根治性を高めるため、手術前に化学療法を行ってから切除を行うこともあります。

治療成績

1.胆嚢がん

2000年より2022年までに切除した胆嚢がんは67例(35-91歳、中央値70歳)、男性30例、女性37例でした。m(粘膜)・mp(固有筋層)がん21例、ss(漿膜下層)がん40例、se(漿膜面露出)がん3例、si(多臓器浸潤)がん1例で、m・mpがんの5年生存率は94%(赤線)、ssがんの生存期間中央値は66か月(緑線)、se・siがんの生存期間中央値は25ヶ月(青線)です。

2.胆管がん

2002年より2019年7月までに切除した胆管がんは96例(42-91歳、中央値70歳)で、男性64例、女性32例でした。肝門部領域胆管がんは34例、遠位胆管がんは62例で、それぞれの5年生存率は、肝門部領域胆管がん:48%(青線)、遠位胆管がん:67%(赤線)です。