九州大学病院のがん診療

大腸がん

放射線治療

大腸がんは結腸癌と直腸癌に大別されます。結腸癌は、原発巣に放射線治療が用いられることは殆どありません。結腸癌で放射線治療の適応となるものは、骨転移に対する緩和照射や肺転移に対する照射などが挙げられます。直腸癌は、骨転移や肺転移に対する照射に加え、術前・術後や手術不可能なときにも放射線治療が用いられることがあります。

術前放射線治療

単独放射線治療や化学放射線療法が行われます。術前に化学放射線療法を行うことで、局所制御率・肛門括約筋温存率の向上が期待できます。

術後放射線治療

術後放射線治療によって、局所再発率の減少が期待できます。術後は腸管の癒着などのため、放射線治療の有害事象として、下痢を含めた消化器症状の発生に注意が必要です。

手術不可能例・再発例に対する放射線治療

手術不可能例や骨盤内再発病変に放射線治療が行われます。周囲臓器への浸潤のため根治切除困難な場合や並存疾患のため手術不可能な場合に放射線治療が用いられます。また、骨盤内再発病変にも放射線治療が行われます。
治療計画(直腸癌)
治療計画は、CT画像を基にして行われます。GTV(gross tumor volume)と呼ばれる指標は原発巣とリンパ節腫大を合わせた範囲です。CTV(clinical target volume)は、原発巣に2―3cmを加えた範囲、リンパ節腫大に0.5-1cmを加えた範囲、所属リンパ節(直腸傍リンパ節・内腸骨リンパ節・閉鎖リンパ節・仙骨前リンパ節)を含めた範囲です。より進行した直腸癌は、さらに外腸骨リンパ節領域を含めて照射します。PTV(planning target volume)とはCTVにさらに0.5-1cmを加えた範囲です。PTVを含む範囲に前後2方向からの照射や、左右2方向に後1門を加えた3方向からの照射、あるいは前後左右4方向からの照射が行われます。
線量
術前照射は40〜50Gy(グレイ)を20〜28回に分けて、術後照射は50Gy(グレイ)を25〜28回に分けて照射します。術後に病変が残存する場合は50Gy(グレイ)の時点で極力腸に直接照射することを避けながら、総線量60Gy(グレイ)程度まで追加します。当院では、直腸癌に対して60Gy(グレイ)を照射する場合には、まず40Gy(グレイ)を全骨盤腔に照射し、その後、照射野を病変部に絞って20Gy(グレイ)追加照射を行っています。
有害事象

急性期有害事象
下痢・膀胱炎・肛門痛・会陰部皮膚炎などが挙げられます。

晩期有害事象
頻便・ろう孔形成・腸閉塞・潰瘍形成・穿孔などが挙げられます。

用語解説
化学放射線療法 : 抗がん剤と放射線を組み合わせて行うがんの治療方法
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
急性期有害事象 : 放射線治療期間中および照射終了1ヶ月程度まに発生してくる障害
晩期有害事象 : 治療が終了後約3か月以降に発生してくる障害