九州大学病院のがん診療

頭頸部がん

内科的治療

頭頸部がんの初回治療では主たる治療(手術や放射線)と組み合わせて、様々な場面で抗がん剤治療が用いられます。具体的には、手術の前に行うことで病変の縮小を目指す場合、手術後に放射線治療と一緒に行うことで再発の予防を目指す場合、限局している病変に対して放射線治療と一緒に用いる場合などです。状況によって、用いられる抗がん剤の種類や組み合わせが変わってきます。また、<はじめに>の項でご説明しましたように頭頸部がんにも様々な種類があり、その種類によっても、抗がん剤の用いられ方が変わることがあります。

初回治療後に再発した場合は、抗がん剤治療が中心となります。、現在、免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブやペムブロリズマブ)と呼ばれる抗がん剤が第1選択となっています。それ以外にも抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体のセツキシマブをはじめとする複数の抗がん剤があり、患者さんの状況に応じて選択しています。近年では、唾液腺がんでHER2という蛋白を発現している場合には、抗HER2抗体薬であるトラスツズマブを用いた抗がん剤治療も可能となっています。抗がん剤は様々な副作用が出現しますが、なかでも免疫チェックポイント阻害薬は、免疫関連有害事象と呼ばれる特有の副作用が出現することがあり、当院では、院内全体で連携し、免疫関連有害事象に対応する体制を整えています。

なお、患者さん個人個人に効果的な抗がん剤が見つかる可能性がある、がん遺伝子パネル検査も当院で対応可能であり、検査の結果、適合する抗がん剤が見つかればそれを投与できるようにサポートしています。

用語解説

免疫チェックポイント阻害薬 : 免疫療法のひとつ。がん細胞により抑制されていた免疫機能を活性化させる
がん遺伝子パネル検査 : 手術や生検で取り出した患者さんの「がん」の一部を使用し、「がん」に関わる複数の遺伝子を調べ、患者さんの「がん」がもつ遺伝子異常を調べる検査