九州大学病院のがん診療

頭頸部がん

院内がん登録情報

九州大学病院における頭頸部がん登録数は、2018年から2022年までの4年間で約460名でした。口腔癌を除く頭頸部がんの病期を見ると、ステージⅢ、Ⅳの進行がんが全体の約55%を占めていました(図1)。

がん検診で発見される確率は3.5%とまだ低いのですが、症状のない早期がんの状態で他の疾患を契機に見つかる確率が増加しており、約37%が早期で発見されていました。しかしながら半分以上の症例は、症状が出現してから受診されるため、進行がんの状態での発見となっていました(図2)。

手術療法は約50%に施行されており、うち内視鏡(ロボット手術含め)手術が20%を占めていました。放射線療法は約50%に施行されており、そのうち約25%が化学療法と併用されていました(図3  *なお化学療法が占める割合が多いのは、化学療法単独で治療されたのではなく、放射線を併用する化学放射線療法を行った症例が、化学療法群に含まれているためです)。

5年生存率についてですが、上咽頭癌はいずれのステージでも生存率が60%以上と良好です。一方でその他の癌については、ステージⅠ、Ⅱの早期がんの5年生存率は80-90%と比較的良好ですが、ステージⅢの進行がんは70%前後、病期IVAになると40-50%に低下します。手術療法や根治的な放射線治療が困難な進行がんである病期ⅣB、ⅣC期になると、さらに生存率は低下します(図 4 *2017年にUICCが、2018年に癌取り扱い規約が大幅改定されました。図4のステージ別の生存率は改訂前のステージに基づいた結果となりますので、図1~3に示す改定後のステージ分類とは異なる部分があります)。
なお、近年は たくさんの種類の新規の薬物療法の導入より、ステージⅣの頭頸部がんの予後は改善しつつあります。

用語解説
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法
化学放射線療法 : 抗がん剤と放射線を組み合わせて行うがんの治療方法

頭頸部(鼻腔・副鼻腔) 2018-2022年症例のうち悪性リンパ腫以外(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2 ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3 ステージ別治療法(症例20、21、30、31)※重複あり

図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(鼻腔・副鼻腔))

頭頸部(上咽頭) 2018-2022年症例のうち悪性リンパ腫以外(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2 ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3 ステージ別治療法(症例20、21、30、31)

図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(上咽頭)

頭頸部(中咽頭) 2018-2022年症例のうち悪性リンパ腫以外(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2 ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3 ステージ別治療法(症例20、21、30、31)※重複あり

図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(中咽頭)

頭頸部(下咽頭) 2018-2022年症例のうち悪性リンパ腫以外(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2 ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3 ステージ別治療法(症例20、21、30、31)※重複あり

図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(下咽頭))

頭頸部(喉頭) 2018-2022年症例のうち悪性リンパ腫以外(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2 ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3 ステージ別治療法(症例20、21、30、31)※重複あり

図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(喉頭))

頭頸部(唾液腺) 2018-2022年症例のうち悪性リンパ腫以外(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2 ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3 ステージ別治療法(症例20、21、30、31)※重複あり

図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(唾液腺))