九州大学病院のがん診療

頭頸部がん

院内がん登録情報

九州大学病院における頭頸部がん(喉頭癌、鼻腔・副鼻腔癌、咽頭癌、唾液腺癌<口腔癌、甲状腺癌は除く>)の登録数は、2007年から2017年までの11年間で1,038名でした。(*2018年にステージ分類において、大幅改訂があったため、改定前の2017年までの登録数で示しています)

頭頸部がん(うち口腔癌、甲状腺癌は除く)の場合、進行がんが比較的多いとされます。当院の登録状況をみても、咽頭癌と鼻腔・副鼻腔癌は約3分の2の症例が、喉頭癌と唾液腺癌は約2分の1の症例が、ステージⅢ、Ⅳの進行がんにあたります(図1)。一方で、近年、内視鏡技術の向上によって、人間ドックや他疾患の経過観察中に咽頭癌を中心に早期がんの状態で発見される症例が増えてきました(図2)。

このように早期がんで発見される症例の増加や、放射線技術の発達(強度変調放射線治療定位放射線治療などの高精度放射線治療重粒子線治療)、そして内視鏡・顕微鏡手術の普及に伴い、機能障害が少ない頭頸部がん治療が可能になってきました(図3)。頭頸部領域は構音・音声・嚥下など、日常生活にとても重要な機能に関わる部位のため、機能障害の少ない根治治療の普及は重要です。また根治不能となった頭頸部がん症例に対しては、薬物治療(抗癌剤、分子標的薬剤免疫チェックポイント阻害剤)の開発・普及で長期生存が可能になってきました(図3)。

2013年までの登録における5年生存率は、ステージⅠ、Ⅱの早期がんの場合80%前後で、ステージⅢの進行がんは70%前後、根治可能なステージⅣで50%前後、根治不能なステージIVでは10-20%程度になります(図4)。

頭頸部(唾液腺)  2007-2017年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・取扱い規約ステージ(頭頸部癌取扱い規約第4・5版)

取扱い規約について集計を行った。
2012年に軽度の改訂があったがステージングに影響はなく、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数
(症例区分2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例区分2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例区分2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線
(頭頸部(唾液腺))

頭頸部(鼻腔・副鼻腔)  2007-2017年症例のうち悪性リンパ腫以外 治療前・取扱い規約ステージ(頭頸部癌取扱い規約第4・5版)

取扱い規約について集計を行った。
2012年に軽度の改訂があったがステージングに影響はなく、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)
図1 ステージ別症例数(症例区分2、3)
図2 ステージ別発見経緯(症例区分2、3)
図3 ステージ別治療法(症例区分2、3)
図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(鼻腔・副鼻腔))

頭頸部(中咽頭)  2007-2017年症例のうち悪性リンパ腫以外 治療前・取扱い規約ステージ(頭頸部癌取扱い規約第4・5版)

取扱い規約について集計を行った。
2012年に軽度の改訂があったがステージングに影響はなく、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)
図1 ステージ別症例数(症例区分2、3)
図2 ステージ別発見経緯(症例区分2、3)
図3 ステージ別治療法(症例区分2、3)
図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(中咽頭))

頭頸部(上咽頭)  2007-2017年症例のうち悪性リンパ腫以外 治療前・取扱い規約ステージ(頭頸部癌取扱い規約第4・5版)

取扱い規約について集計を行った。
2012年に軽度の改訂があったがステージングに影響はなく、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)
図1 ステージ別症例数(症例区分2、3)
図2 ステージ別発見経緯(症例区分2、3)
図3 ステージ別治療法(症例区分2、3)
図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(上咽頭))

頭頸部(下咽頭) 2007-2017年症例のうち悪性 リンパ腫以外治療前・取扱い規約ステージ(頭頸部癌取扱い規約第4・5版)

取扱い規約について集計を行った。
2012年に軽度の改訂があったがステージングに影響はなく、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)
図1 ステージ別症例数(症例区分2、3)
図2 ステージ別発見経緯(症例区分2、3)
図3 ステージ別治療法(症例区分2、3)
図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(下咽頭))

頭頸部(喉頭) 2007-2017年症例のうち悪性リンパ腫以外 治療前・取扱い規約ステージ(頭頸部癌取扱い規約第4・5版)

取扱い規約について集計を行った。
2012年に軽度の改訂があったがステージングに影響はなく、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)
図1 ステージ別症例数(症例区分2、3)
図2 ステージ別発見経緯(症例区分2、3)
図3 ステージ別治療法(症例区分2、3)
図4 Kaplan-Meier生存曲線(頭頸部(喉頭))
用語解説
強度変調放射線治療 : 腫瘍の形状に合わせた線量分布を形成することで、正常組織の被ばく線量をより低減し腫瘍部分に集中的に照射することができる照射方法。
定位放射線治療 : 治療用の放射線を多方向から病巣に対して集中し、正常組織の障害を少なくした放射線の治療方法。
高精度放射線治療 : 定位放射線治療、強度変調放射線治療のこと。
重粒子線治療 : 重粒子線を使い、がん細胞だけを集中して照射する治療。
分子標的薬剤 : 癌に関与する遺伝子や遺伝子産物を標的とした薬剤による治療法。
免疫チェックポイント阻害剤 : 免疫療法のひとつ。がん細胞により抑制されていた免疫機能を活性化させる。
悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍