九州大学病院のがん診療

口腔がん

院内がん登録情報

2018年から2022年までの5年間に九大病院で口腔がんの診断を受けて治療を開始された初診患者さん(悪性リンパ腫を除く)は579名でした。

症例の臨床病期(ステージ)別の割合を図1に示します。ステージ0〜Ⅱで57.2%を占めており、比較的早期の状態で来院される患者さんがおられる一方で、ステージⅣ(ⅣA、ⅣB、ⅣC)も27.6%あり、進展した症例も少なくないことがわかります。

図2にはステージ別の発見の経緯(当院に紹介されるルート)を示します。また図3にはステージ別の治療内訳を示します(一人の患者さんで手術を行ったあとに化学放射線治療を受けた場合は手術にも化学療法にも放射線にもカウントされています)。ステージⅢまでは手術的治療が中心でステージⅣに進展するにつれて、手術に加えて放射線治療や薬物治療を行ういわゆる病期 集学的治療を行う症例が多いことを示しています。

図4にこれらの症例の生存曲線(Kaplan-Meier法、がん以外での死亡を含む)を示します。ステージと5年生存率はほぼ一致していると思われます。

口唇・口腔2018-2022年症例のうち悪性リンパ腫以外(悪性リンパ腫、肉腫等を除く)治療前・UICCステージ

UICCについて集計を行った。
※症例20:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例21:自施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
 症例30:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例31:他施設で診断され、自施設で初回治療を継続(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1.ステージ別症例数(症例20、21、30、31)

図2.ステージ別発見経緯(症例20、21、30、31)

図3.ステージ別治療法(症例20、21、30、31)
※重複あり

図4 Kaplan-Meier生存曲線(口唇・口腔)

用語解説

悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍
病期 : 疾病の経過をその特徴によって区分した時期
化学放射線治療 : 抗がん剤と放射線を組み合わせて行うがんの治療方法。
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法。
集学的治療 : 外科的治療、化学療法、放射線療法などの複数の治療方法を組み合わせて行うがんの治療法