九州大学病院のがん診療

前立腺がん

内科的治療

ホルモン療法

前立腺のがん細胞は男性ホルモンによって増殖するという特徴があり、男性ホルモンを抑える注射や内服薬で治療します。ホルモン療法によりがん完治することはまれで、がんの進行や症状を抑える治療であり、診断時に転移がある方が治療対象となります。また、根治治療の後に再発を起こした場合や、転移はないものの根治治療を受けられない方にホルモン療法を行うことがあります。また、放射線治療などの補助治療として併用することもあります。副作用としては性機能障害、発汗、顔面紅潮、体重増加、女性化乳房等があります。長期の使用で糖尿病の悪化や、高脂血症、骨粗鬆症、心血管系の副作用の可能性があります。最近では、従来のホルモン療法に加え、病気の状態に応じて強力なホルモン剤(アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド)を使用することで、高い治療効果が得られるようになっています。

抗がん剤治療

原則、ホルモン治療が効かなくなり、病気が進行した方が対象で、ドセタキセルという抗がん剤を3-4週ごとに点滴します。近年は、前立腺癌の診断
時に臓器転移を認めており強い治療が必要だと考えられた方にも、ホルモン治療と併用して投与されることがあります。主な副作用は、倦怠感、悪心、嘔吐、骨髄抑制(血小板低下、白血球低下、貧血)、神経障害などで、副作用のコントロールができれば外来の抗がん剤治療が可能です。ドセタキセル治療が無効となった方や副作用で治療できない方にはカバジタキセルという抗癌剤が使用されます。主な副作用は、骨髄抑制、特に白血球低下です。

用語解説
骨髄抑制 : 抗がん剤などによって骨髄内の正常血球細胞の産生が障害されること