九州大学病院のがん診療

腎盂尿管がん

外科的治療

腎盂尿管がんの治療は、がんの根の深さや転移の有無によって大きく異なります。転移のない腎盂尿管がんの場合には、全身状態などから可能であれば根治療法として手術療法が第一選択になります。その他の治療法としては、化学療法、放射線療法、免疫療法などになりますが、治療成績は残念ながら満足いくものではありません。一方、転移のある腎盂尿管がんの場合には、進行膀胱がんでも行われる全身化学療法が行われます。(詳細は後述の内科的治療をご参照下さい。)

腎尿管全摘除術

がんのある方の腎臓から尿管、尿管付近の膀胱の壁をひとかたまりですべて切除する術式です。たとえ腎盂だけにがんがみられたとしても、尿管を残した場合残った尿管に高率にがんの再発をきたすため、腎臓から尿管をすべて摘出します。通常腎臓は左右に1つずつあり、片方を摘出したとしても、もう一方が正常に働いていれば日常生活において問題になることはほとんどありません。

また、手術前の画像検査や生検の結果、浸潤性がんという根の深いがんであることが予測された症例ではリンパ節転移の可能性が否定できないため、リンパ節をまとめて摘出するリンパ節郭清術が同時に行われることがあります。

従来は腹部あるいは側腹部から下腹部までの大きな傷から手術を行っていましたが、現在では周囲に浸潤が疑われるような一部の症例を除いて、ほとんどの症例で腹腔鏡手術が行われています。その場合、側腹部の4〜5ヶ所に1cm程度の小さな穴をあけて、そこから内視鏡などの道具を入れて腎臓を遊離します。遊離した臓器を摘出する穴は必要になるため、当院では下腹部を開放して、膀胱部の処理と臓器の摘出を行っています。開放手術に比較して腹腔鏡手術では出血量が少なく、傷の痛みが軽く、術後の回復が早くなります。現在、九州大学病院では基本的には腹腔鏡下腎尿管全摘術を行っており、5%弱の患者さんが癌の進展や手術の既往のために開放手術を受けられています。

尿管部分切除

がんが下部尿管の一部のみにある場合に、がんのある尿管とその周囲を切除して尿管と尿管あるいは膀胱をつなぎ合わせる尿管部分切除術をすることがあります。しかしながら、前述のように腎盂尿管がんが多発することが多いこと、再発の頻度も高いことなどから、腎盂尿管が片方しかないような場合などを除き標準治療とは言えず、治療の選択についてはよく相談する必要があります。

経尿道的腎盂尿管腫瘍切除術

画像検査や尿管鏡検査の結果、腫瘍の大きさが小さく、1〜2個で根の浅い腫瘍であれば、レーザーを用いて内視鏡的に腫瘍を蒸散させることがあります。特に、腎臓が片方しかない場合、高齢である場合や大きな合併症がある場合などでは、治療法の一つとして積極的に考慮しています。また最近では、前述のような方以外でも腫瘍の悪性度が比較的低い場合には、内視鏡的治療を考慮しています。ただし、腎盂尿管内での再発率が高いため頻回の尿管鏡検査が必要であり、すべてが経尿道的手術の適応となるわけではありません。
用語解説
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法