九州大学病院のがん診療

子宮がん

院内がん登録情報集計

子宮頸がん

図1に子宮頸がんのステージ別症例数を示します。0期は上皮内がん(CIS)または高度上皮内腫瘍(CIN3)に相当します。0期やⅠA期(微小浸潤がん)は無症状のため子宮がん検診で偶然に発見されることが多いですが、ⅠB期以上になると大部分に不正性器出血や異常帯下などの症状が出現します(図2)。治療については、0期に対してはレーザー治療や円錐切除術が行われます。Ⅰ〜Ⅱ期は子宮全摘出術を含む手術が基本で、術後に放射線や抗がん剤による追加治療が行われることもあります。周囲臓器に浸潤しているⅢ〜ⅣA期は放射線、遠隔転移のあるⅣB期は抗がん剤が治療の中心となります(図3)。図4は九州大学病院における子宮頸がんのKaplan-Meier生存曲線です。日本産科婦人科学会が2020年に公表している全国の病院における5年生存率は、ⅠA1期99.1%、ⅠA2期95.9%、ⅠB1期93.2%、ⅠB2期83.7%、ⅡA期79.2%、ⅡB期74. 6%、ⅢA期53. 6%、ⅢB期60. 2%、ⅣA期36.5%、ⅣB期28.9%で、ほぼ同等の成績でした。一般的に九州大学病院などの大病院には重い合併症があるなど医学的管理が難しい症例が多く、十分な治療を提供できないことから中小病院に比べて治療成績が良くないことがあります。しかし九州大学病院の治療成績は全国のデータと同等であり、医学的管理が難しい症例においても一定水準以上の治療を提供できているものと考えられます。

子宮頸部 2007-2018年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・FIGOステージ

FIGOについて集計を行った。
2012年よりFIGO第3版へ改訂があったが、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数
(症例2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線
(子宮頸部)

子宮体がん

図1に子宮体がんのステージ別症例数を示します。子宮体がんは発生早期より不正性器出血が高頻度に認められ、4人中3人がⅠ期の早期がんで発見されます。無症状の場合でも別の理由で経腟超音波検査が行われ、子宮内膜が厚いことから発見に至ることもあります(図2)。子宮体がんの治療は手術が基本で、再発のリスクが高い場合や手術で病変が完全摘出できなかった場合に抗がん剤や放射線による追加治療が行われます(図3)。図4は九州大学病院における子宮体がんのKaplan-Meier生存曲線です。日本産科婦人科学会が2020年に公表している全国の病院における5年生存率は、ⅠA期96.0%、ⅠB期87.7%、Ⅱ期89.2%、ⅢA期79.0%、ⅢB期67. 0%、ⅢC期72. 5%、ⅣA期41. 0%、ⅣB期25.4%で、ほぼ同等の成績でした。一般的に九州大学病院などの大病院には重い合併症があるなど医学的管理が難しい症例が多く、十分な治療を提供できないことから中小病院に比べて治療成績が良くないことがあります。しかし九州大学病院の治療成績は全国のデータと同等であり、医学的管理が難しい症例においても一定水準以上の治療を提供できているものと考えられます。

子宮体部 2007-2018年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・FIGOステージ

FIGOについて集計を行った。
2012年よりFIGO第3版へ改訂があったが、大きな変更はなかったため、通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数
(症例2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線
(子宮体部)

用語解説
悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍
超音波検査 : 超音波を当て、反射する反射波を画像処理し臓器の状態を調べる検査