九州大学病院のがん診療

胃がん

診断

①胃X線検査

胃X線造影検査は、造影剤(バリウム)を飲んで、胃の中をレントゲンで写し出す検査です。主に胃がん検診として昔から幅広く行われています。九州大学病院では、胃がんと診断され紹介される患者さんがほとんどであるために、精密検査として胃X線検査を行います。この検査は胃がんの広がりや進行の程度が一目でわかるという、内視鏡にはないメリットがあります。とくにスキルス胃がんの評価には最も優れた検査と言えます。詳しく胃がんを見るために、鼻から胃内に細いチューブを挿入して、体の向きを細かく変えながら撮影します。鎮静剤(麻酔で眠った状態で検査をする)を使うことはできません。

②胃内視鏡検査

胃内視鏡検査は、内視鏡を口から胃内に挿入して、胃の中を直接見る検査です。胃がん検診では鼻から挿入する経鼻内視鏡を用いることが多いですが、精密検査には適していません。
内視鏡検査は胃の中を空にして行う必要があるため、当日は絶食の状態で来院していただきます。内視鏡が喉を通るときの苦痛を取り除くためにスプレーなどで直接喉の麻酔をしますが、完全に取り除くことはできません。鎮静剤(麻酔で眠った状態で検査をする)を使用することもできますが、効き具合には個人差があります。なお当院では鎮静剤を使用した場合、その後は車の運転を控えていただきます。
内視鏡検査では、がんの大きさや広がりを評価し、組織の一部を採取(生検)します。また、より細かく見るために特殊な光(狭帯域光観察)と拡大機能を使用し、がんの深さを診断するために超音波内視鏡という専用の装置を使用します。

③コンピュータ断層撮影法(CT

CT検査(コンピュータ断層撮影法)は、身体に多方向からX線を照射して得られた情報をコンピュータで処理し身体の断面像を描出する検査です。胃がんと診断された場合には、病期(ステージ)を決める必要があるため、胃がんの進行度やリンパ節転移、遠隔転移などをCTで診断します。とくに胃がんは胃から直接腹腔内に広がる腹膜播種を起こしやすく、その診断も重要です。病期診断目的のCTでは、原則として静脈からヨード造影剤を注入して撮影します。そうすることで、画像のコントラストが向上し、より正確な診断が可能となります。ただし、ヨード造影剤は副作用を生じることがあるため、十分に説明し同意をいただいた上で行います。

用語解説
超音波内視鏡 : 超音波診断装置を伴った内視鏡
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置