九州大学病院のがん診療

肝がん

診断

① 超音波

超音波検査は、人間の耳に聞こえる音域(可聴域)以上の周波数を持つ音波を用いる検査で、CTMRIと同様に、体の断面を作成することで病気の診断をすることができます。CT やMRIと比べると装置が小さく、簡便かつ比較的安価な検査で、しかも超音波自体は身体への悪影響がなく繰り返し行うことができます。
また、肝腫瘤の検出・精査のために造影剤というお薬を注射して超音波検査を行う場合があります。

超音波検査の欠点としては、超音波が届きにくい場合(体格の大きな患者さん、深部臓器の評価、胃や腸などに隠れる部位など)に、十分な診断が困難になることが挙げられます。また、検査を行う側の技量に依存する側面もあり、十分な経験が必要です。

当センターでは、十分な経験を積んだ医師および技師が検査を施行しています。

② コンピューター断層撮像法(CT)

CTとは体にX線をあて、コンピューターを用いて体の断面像を作成する検査です。肝細胞がんは、造影剤というお薬を静脈に急速に注射し、早いタイミングで撮像することで、明瞭に描出されるという特徴をもっています。この検査は外来で施行することが可能で、定期的に撮像することで癌の早期発見が可能となります。また肝臓にできた腫瘤が良いものであるのか、悪いものであるのかを診断するのはもちろん、その数や大きさ、周囲の血管との関係の詳細がわかります。当院には高速撮像用のCTが設置されており、より短時間に多くの患者さんを検査することが可能です。

③ 磁気共鳴画像(MRI)

MRIとは強い磁石を用いて強力な磁場を発生させ、人体の中を画像化する装置です。近年、肝臓のMRI専用の新しい造影剤により、肝細胞がんの診断能は格段に向上しました。上記の超音波やCTであやしい影が発見された場合や、CTで使用する造影剤が体に合わずに副作用を起こされた方を対象に施行されます。

④ 血管造影(angiographyあるいはアンギオ)

血管造影は足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)をいれて行う検査および治療です。カテーテルの先端を、肝臓を栄養する肝動脈という血管まで進めていき、そこから造影剤を流して写真をとります。さらに上記②のCTを同時に撮像することで、より正確な診断が可能となります(この検査は血管造影下CTと呼ばれます)。また、挿入した管を通して抗がん剤を注入することも可能で、患者さんの病気の程度によってこの治療を行うこともあります。本検査を施行するには入院していだだく必要があります。検査終了後も数時間から翌朝までの安静が必要となります。

用語解説
超音波検査 : 超音波を当て、反射する反射波を画像処理し臓器の状態を調べる検査
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
MRI : 強い磁石と磁気を利用して体の内部を検査する機器
カテーテル : 体腔や消化器などの体内容物の排出・採取、薬物の注入目的に使用される細い管