九州大学病院のがん診療

膵がん

院内がん登録情報

2010年から2018年までに膵がんの診断を受けて九州大学病院で治療が行われた患者さんは、1,252例であり、年平均139例が当院で診断・治療を行われています。2016年に膵癌取扱い規約の大きな改訂があったため、その前後で分けて当院院内がん登録の検討をします。

膵がんの進行度別に登録症例数の割合をみると(図1)、2010〜2016年はステージ0からステージⅡまでが20.0%、ステージⅢが16%であり、ステージⅣが64.0%を占め、2017〜2018年はステージ0からステージⅡまでが48.0%、ステージⅢが18%であり、ステージⅣが34.0%でした。当院の特徴として、手術治療を基本とする患者さんが多い傾向にあり、膵がん治療における当院の役割を示しています。

ステージⅠまでは、腫瘍が膵臓の中に留まり、その大きさが2cm以下で、リンパ節転移もない状態であり、その殆どに手術が行われ、ステージⅠの約4割の方に手術に加えて、抗がん剤の併用治療や放射線による治療が行われています(図3)。ステージⅡAとステージⅡBは、腫瘍が2cm以上ではあるが、近くの大きな血管や神経などには及ばず、膵臓周囲のリンパ節まで転移がある状態で、その殆どに手術を中心とした治療が行われ、約8割の患者さんに抗がん剤による治療も併せて行われています(図3)。2010〜2016年で抗がん剤により治療の併用が4割程度であったことからも、近年抗がん剤治療を併用する傾向となっていることが伺えます。現在、膵がんの基本的な治療法は、手術と抗がん剤治療を併せて実施することとなっており、良い治療成績が得られています。

ステージⅢは、癌が大きな動脈や静脈、神経、その他の臓器まで広がっていて、リンパ節への転移は膵臓の近くに留まる状態を主に言いますが、この状態では約6割の患者さんには手術が行われ(図3)、その殆どの方に抗がん剤による治療が行われています。

ステージⅣは、膵臓から離れたリンパ節に転移するか、或いは肝臓や肺などの転移した状態で発見された場合であり、その場合の手術実施率は1割弱に留まっています。ステージⅣの場合、殆どの方に抗がん剤による治療が行われています。図4は膵癌のステージ別の生存曲線を示しています。

膵 2010-2016年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・取扱い規約ステージ(膵癌取扱い規約第6版)

取扱い規約について集計を行った。
2016年に大きな改訂があったため、第6版と第7版に分けて集計をしている。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数
(症例区分2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例区分2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例区分2、3)

膵 2017-2018年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・取扱い規約ステージ(膵癌取扱い規約第7版)

図1 ステージ別症例数
(症例区分2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例区分2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例区分2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線
(膵)

用語解説

悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍