九州大学病院のがん診療

膵がん

院内がん登録情報

2007年から2015年までに膵がんの診断を受けて九州大学病院で治療が行われた患者さんは、875例であり、最近、顕著に治療症例が増加しています。これは、膵がん治療における当院の果たす役割が年々大きくなっていることを示しています。膵がんの進行度別に登録症例数の割合をみると(図1)、ステージ0からステージⅡまでが52%、ステージⅢが15%であり、ステージⅣが33%を占めています。最近の傾向としては、ステージ0からステージⅡまでの手術治療を基本とする患者さんの増加が顕著です。

ステージⅠまでは、腫瘍が膵臓の中に留まり、その大きさが2cm以下で、リンパ節転移もない状態であり、その殆どに手術が行われ、ステージⅠの約4割の方に手術に加えて、抗がん剤の併用治療が行われています(図3)。ステージⅡAとステージⅡBは、腫瘍が2cm以上ではあるが、近くの大きな血管や神経などには及ばず、膵臓周囲のリンパ節まで転移がある状態で、その殆どに手術を中心とした治療が行われ、約6割の患者さんに抗がん剤による治療も併せて行われています(図3)。膵がんの基本的な治療法は、手術と抗がん剤治療を併せて実施することであり、そのことによって良い治療成績が得られつつあります。

ステージⅢは、癌が大きな動脈や静脈、神経、その他の臓器まで広がっていて、リンパ節への転移は膵臓の近くに留まる状態を主に言いますが、この状態でも約60%の患者さんには手術が行われ(図3)、その殆どの方に抗がん剤による治療が行われています。

ステージⅣは、膵臓から離れたリンパ節に転移するか、あるいは肝臓や肺などに転移した状態で発見された場合であり、その場合の手術実施率は10%弱に留まっています。ステージⅣの場合、殆どの方に抗がん剤による治療が行われています。図4は膵癌のステージ別の生存曲線を示しています。

―取扱い規約―膵 2007-2015年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・取扱い規約ステージ

取扱い規約を基本に集計を行った。
なお参考としてUICCのデータを添付している。2012年よりUICC第7版へ改訂があったが、大きな変更はなかったため通年でデータを集計した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数
(症例2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線
(膵)

―UICC―膵 2007-2015年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・UICCステージ

図1 ステージ別症例数
(症例2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線
(膵)

用語解説
悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍