九州大学病院のがん診療

甲状腺がん

診断

超音波検査

エコー検査とも呼ばれています。超音波を用いて、内臓の様子を観察する検査方法です。甲状腺がんにおいては、甲状腺内の腫瘍の広がりや性状、周辺のリンパ節への転移の有無を観察します。体に害のない検査なので、比較的頻繁に用いられます。検査を担当する人の経験や技量に左右されることがありますが、非常に有用な検査であると考えられます。

CTスキャン

レントゲンを用いて、人体の輪切り像を見る検査です。甲状腺がんにおいては、腫瘍の広がりやリンパ節などへの転移の有無を観察します。造影剤を用いない「単純CT」と造影剤を静脈注射しながら撮影する「造影CT」があります。通常、1回の検査で両方の撮影を行います。造影剤を用いることにより、腫瘍の存在がより明確になります。

穿刺吸引細胞診

甲状腺に細い針を刺し、細胞を採取します。腫瘍の細胞を直接検査できるため、この検査で癌細胞が検出されれば、100%に近い確率で癌と診断されます。ただし、癌細胞が検出されない場合であっても、癌を否定できるわけではありません。腫瘍の細胞が取れていない可能性があるからです。また、濾胞性腫瘍の場合は、良性と悪性の鑑別が難しいことがあります。

血液検査

甲状腺ホルモンや脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンなどが測定されることがありますが、甲状腺がんでは一般的に正常範囲です。また、サイログロブリンと呼ばれるたんぱく質も測定します。この物質は甲状腺ホルモンの合成に関わる蛋白質ですが、甲状腺腫瘍の場合だけでなく、甲状腺刺激ホルモンで甲状腺が刺激された時や、炎症によって甲状腺組織が破壊された時などにも血中濃度が上昇します。したがって、サイログロブリンが上昇していても必ずしも甲状腺がんであるとは言えません。甲状腺全摘術後にいったん低下していたサイログロブリン値が再び上昇してきた時は、再発の可能性があります。しかしながら、その他の要因でも変動することがあり、再発の有無に関しても他の検査結果も併せて総合的に判断する必要があります。

核医学検査

放射性同位元素を用いて、甲状腺の形態、機能を検査する場合があります。癌の診断には、ヨウ素、タリウム、ガリウムなどが用いられます。九州大学病院ではSPECTとCTの撮像を同時に行うSPECT/CT装置を備えており、SPECT単独に比べてより正確な診断を得ることができます。また、PET/CT装置も完備しており、甲状腺がんの再発や治療効果予測などに役立てています。

用語解説
超音波検査 : 超音波を当て、反射する反射波を画像処理し臓器の状態を調べる検査
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
穿刺吸引細胞診 : 細胞診の一種。病変部に直接細い針を刺し、注射器で吸い出した細胞を顕微鏡で観察する
SPECT : 体内に投与された放射性同位元素から放出するエネルギーを、コンピュータを用いて断層画像にしたもの
PET : がん細胞だけに集積する検査薬を体内に取り込み専用の装置で体を撮影する画像診断法