九州大学病院のがん診療

甲状腺がん

外科的治療

手術による腫瘍摘出が治療の第一選択です。悪性腫瘍の場合には、頸部郭清術(転移の可能性のあるリンパ節の摘出)を同時に行うこともあります。甲状腺がんの大半を占める乳頭癌や濾胞癌では、多くの場合で手術が選択されます。一方で未分化癌では、手術を中心として放射線治療や化学療法を組み合わせた治療が計画されますが、進行が速いため現実には治療をすることさえ困難な場合もあります。乳頭癌、濾胞癌の患者さんで術前の精査でリンパ節腫脹のない場合には、腫瘍の広がりに応じて甲状腺半切除術〜(亜)全摘術と、気管周囲リンパ節の郭清術を行います。加えて、術前の精査で側頸部リンパ節腫脹のある患者さんにおいては側頸部リンパ節の郭清術を行っています。甲状腺半切除術を行った場合、摘出臓器の病理組織検査(顕微鏡での組織検査)の結果によって、残りの甲状腺を追加で摘出する必要が生じることもあります。髄様癌に対しては、ほぼ全例で甲状腺全摘術と、必要に応じて側頸部リンパ節郭清術を施行しています。未分化癌、悪性リンパ腫については、腫瘍の大きさや進行度を考慮して手術適応および術式を決定しています。甲状腺がんの場合、外科的切除以外の化学療法や放射線治療の効果があまり期待できないため、周囲臓器(頸部血管、気管、食道等)への浸潤を伴う進行症例に対しても、浸潤部位の合併切除を積極的に行い、完全切除となるように努めています。

用語解説
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法
悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍