九州大学病院のがん診療

膀胱がん

はじめに

膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿が腎盂、尿管を経由して運ばれたあと一時的にためておく役割をもっています。膀胱を含め、腎盂、尿管と尿道の一部の内側は尿路上皮(以前は移行上皮と呼んでいた)という粘膜でおおわれています。この尿路上皮から発生するがんを尿路上皮がんと呼び、そのうち膀胱内にできたのものを膀胱がんと呼びます。

 膀胱がんは、男性に多く、また高齢になるほど多くなります。膀胱がんの原因として、喫煙が最も重要で、現在喫煙している人は吸わない人に比べ4倍、過去に喫煙した人は2.3倍膀胱がんになりやすいことが判明しています。喫煙と膀胱がんは一見関係がないと思われがちですが、タバコの煙の発がん物質が、全身を回った後、濃縮されて尿中に排泄され、膀胱の粘膜が慢性的に発がん物質と接触してがんが発生すると考えられています。現在の膀胱がんの患者の約半数は、喫煙が原因であるという統計結果も出ており、禁煙が膀胱がんの予防に最も大切です。

 膀胱がんの症状として典型的なものは血尿で、80%以上の患者さんに認められます。患者さんご自身が赤い色のついた尿が出ることに気づき、病院を受診されることも多く、また、検尿異常により泌尿器科を紹介され膀胱がんが見つかるケースもあります。ただ、多くの場合は、排尿する際の痛みなどの症状がないため、受診が遅れてしまうことも少なくありません。

 膀胱がんの診断は、検尿、膀胱鏡、尿細胞診、膀胱エコー、排泄性尿路造影、CT、MRIなどで行います。最終的には下記手術で、がんの組織を摘出し、顕微鏡でがん細胞であること、さらにがんである場合にはその広がり、深さを病理検査によって診断します。

 膀胱がんの治療方針は、がんの広がりと深さによって大きく異なります。実際の治療法としては、後に詳しく説明いたしますが手術療法(経尿道的手術、膀胱全摘除術)、薬物療法(膀胱腔内注入療法、全身化学療法、免疫療法)、放射線治療などがあり、病状にあわせて選択していきます。九州大学病院では、泌尿器科、放射線科、形態機能病理の専門医が膀胱がんの診断と治療を包括的に行っています。

 

用語解説
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
MRI : 強い磁石と磁気を利用して体の内部を検査する機器
ストーマ : 便や尿の排泄のため、腹部に作られる排泄口
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法