九州大学病院のがん診療

食道がん

放射線治療

放射線治療は早期癌で内視鏡治療の適応にならない場合や、進行癌で手術が困難な場合、または手術を希望されない場合に、根治的放射線治療の適応になります。原則として化学療法化学療法を併用します。その他、術前照射や症状の改善を目的とした緩和照射も適応になります。

放射線治療の準備として、照射を行う体勢で、治療計画用のCTを撮影しますが、その直前に内視鏡検査で病変周囲にクリップで目印をつけ、食道病変の範囲が同定しやすいようにします。腫瘍の性質や進展形式を考慮して照射範囲を設定し、最適な治療法、線量分割で、照射を行います。通常1日1回、週5回、1回につき1.8〜2グレイ(放射線量の単位)、総線量50〜65グレイ程度を6〜7週間かけて行います。1日の照射時間は2〜3分程度で、その間痛みや熱さを感じることはありません。化学放射線療法に用いられる併用化学療法は、シスプラチン+5-FUが標準的です。

放射線治療の副作用は治療期間中に生じる急性期有害事象と、治療終了数カ月後以降に生じる晩期有害事象に分けられます。急性期有害事象としては、照射野に一致した放射線皮膚炎、食道炎、悪心、嘔吐、全身倦怠感などがあります。食道炎により嚥下時痛が生じ、痛み止めや点滴が必要になることもありますが、治療終了後には改善していきます。晩期有害事象には放射線肺炎、食道出血・潰瘍、胸水貯留、心嚢液貯留などがありますが、可能性は低いです。腫瘍の潰瘍部分が深い場合、食道穿孔、ろう孔形成が認められることがあり、絶飲食で保存的に経過観察とします。

用語解説

化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
急性期有害事象 : 放射線治療期間中および照射終了1ヶ月程度までに発生してくる障害
晩期有害事象 : 治療が終了後約3か月以降に発生してくる障害
心嚢液貯留 : 心嚢に大量の液体が貯留し、心臓、特に右心室への血液還流が妨げられるために心不全、特に全身浮腫をきたす状態
ろう孔形成 : 炎症などによって生じた体の組織の穴。栄養補給などのために、人工的に作る場合もある。