九州大学病院のがん診療

食道がん

院内がん登録情報

2007年から2018年に九州大学病院を初発で受診され、当院で初回の治療を受けた食道がんの患者さんは1,380例です。我が国の食道がん取扱い規約に従うと、食道がんの進行度(ステージ)はステージ0からステージⅣBに分類されています。九州大学病院の食道がんの院内がん登録では、当院で実施された治療内容が進行度別に集計されています(図1)。ステージ0、Ⅰ、Ⅱの食道がんは、がん検診・健康診断・人間ドック等で発見される割合が高めです(図2)。しかし、食道がんでは、胃がんに比べると早期の状態で発見される患者さんの割合が比較的少ないことがわかります。

ステージ0(がんが食道の粘膜内にとどまるもの)の症例は368例であり、その多くは内視鏡的治療が実施され、一部に抗がん剤や放射線による治療や手術が行われています(図3)。この状態で発見することができれば、内視鏡的治療のみで、がんを治すことができる可能性があります。

ステージIでは、手術が主に実施され、患者さんによっては、抗がん剤治療や放射線治療も実施されています(図3)。

ステージⅡの患者さんには、ステージⅠまで比べると少し進行した状態であり、多くの場合は手術が施行され、手術に加えて抗がん剤治療や放射線治療が行われています(図3)。

ステージⅢになって更にがんが周囲へ広がった状態で見つかった場合でも、九大病院では多くの方に手術を行っています。しかし、ステージⅢでは手術だけなく、抗がん剤や放射線治療の占める割合が高くなってきます(図3)。

ステージⅣA、ⅣBでは、がんの転移が広がっているために、手術が行われる症例は非常に少なくなり、大半の患者さんに抗がん剤と放射線による治療が行われています(図3)。

図4は、ステージごとの生存曲線を示しています。縦軸が生存割合、横軸が治療後の時間(単位は月)です。ステージが進むにつれ、治療後の生存率が段階的に低くなるのがわかります。ただし、これらはあらゆる状態の患者さんすべてを含む生存曲線であるため、個々の患者さんに対して、必ずしもすべて当てはまるものではありません。

食道 2007-2016年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・取扱い規約ステージ(食道癌取扱い規約第10版)

取扱い規約について集計を行った。
2017年の改訂時に大きな変更があったため、2016年までの第10版と2017年からの第11版を分けて集計をしている。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数
(症例区分2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例区分2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例区分2、3)

治療前・取扱い規約ステージ(食道癌取扱い規約第11版)

図1 ステージ別症例数
(症例区分2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例区分2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例区分2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線(食道)

用語解説
悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍