九州大学病院のがん診療

肺がん

院内がん登録情報

登録症例の病期(ステージ)別内訳はⅠ期が最も多く、次いでⅣ期、Ⅲ期の順です。Ⅰ期で50%以上を占めており、検診や画像診断技術の進歩により早期に発見される症例が増加しているものと思われます。この臨床病期は2016年まではUICC第7版に基づく分類であり、2017年1月1日からはUICC第8版が新たな基準として用いられていますのでご注意ください。肺がんの治療法として早期は手術もしくは放射線治療、局所進行期は放射線治療もしくは化学放射線療法、遠隔転移を伴う進行期は薬物療法と大まかに分かれています。

早期のものほど「他疾患の経過観察中」に発見される割合が高い傾向にあります。進行期になるほど「自覚症状による受診・その他・不明」の割合が高くなりますが、多くは呼吸器症状または転移に伴う症状を契機に発見されているものと考えられます。当院で治療を受けられた患者さんの5年生存率はⅠ期(ⅠA期、ⅠB期)が最も良好で、病期が進むにつれて低くなる傾向が見られます。

Ⅰ期は手術のよい適応で、全体の半数以上の患者さんが手術を受けられています。一方で、高齢や低肺機能などで手術の適応とならず、放射線治療を受けられる患者さんも増えてきています。Ⅱ期は全体の数が少ないですが、手術や放射線治療の局所療法を受けられる患者さんが半数以上を占めています。
Ⅰ期に比べると、手術や放射線療法に薬物療法を加えた集学的治療を受ける方が多くなってきます。Ⅲ期は患者さんの全身状態やがんの進展状況によって治療方針は変わるため、手術や放射線治療の局所療法、薬物療法、集学的治療とさまざまな治療が行われていますが、放射線治療を中心とした治療が行われています。Ⅲ期、Ⅳ期で手術、放射線治療の適応がない場合は薬物療法が基本となります。Ⅳ期でも放射線治療を行う場合がありますが、その多くは症状緩和目的で行われています。病期別の薬物療法施行割合をみると早期症例にも一部薬物療法が実施されています。これは手術後の再発予防目的で行われる術後補助化学療法や放射線治療の効果を高めるために行われる化学放射線療法が含まれているからです。そのため、早期から進行期のどの段階にあっても薬物療法を受ける機会が増えています。

肺 2007-2018年症例のうち悪性リンパ腫以外治療前・取扱い規約ステージ(肺癌取扱い規約第6~8版)

取扱い規約について集計を行った。
2010年、2017年に軽度の改訂があったがステージングに影響はないため、合算した。
※症例2:自施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
 症例3:他施設で診断され、自施設で初回治療を開始(経過観察も含む)
※図4の生存曲線は全生存率として集計(がん以外の死因も含む)

図1 ステージ別症例数
(症例2、3)

図2 ステージ別発見経緯
(症例2、3)

図3 ステージ別治療法
(症例2、3)

図4 Kaplan-Meier生存曲線
(肺)

用語解説

病期 : 疾病の経過をその特徴によって区分した時期
集学的治療 : 外科的治療、化学療法、放射線療法などの複数の治療方法を組み合わせて行うがんの治療法
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法
化学放射線療法 : 抗がん剤と放射線を組み合わせて行うがんの治療方法
悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍