九州大学病院のがん診療

皮膚がん

診断

十分な経験を持った皮膚科専門医であれば、皮膚がんは視診(よく見る)だけで比較的簡単に診断できます。悪性黒色腫乳房外パジェット病、日光角化症、菌状息肉症などでは良性の疾患ととても似ていることがあります。これらの早期病変ではわかりやすい腫瘤形成などはなく、皮膚の色や性状の変化が少しある程度ですので、皮膚科専門医でないと正確な診断は難しいかもしれません。

ダーモスコピー

拡大鏡のような道具を用いて行う検査です。表面での光の乱反射を抑え皮膚内部の構造や色素の分布、血管の走行などを観察できます。検査に伴う痛みなどはありません。悪性黒色腫や基底細胞がんと普通のほくろやシミなどを見分けるのに特に有用です。

皮膚生検

皮膚がんの確定診断は皮膚生検によって行います。局所麻酔薬を注射して、がんの一部(3-4mm程度)を切り取って病理検査(顕微鏡検査)を行います。悪性黒色腫の場合はできるだけ病変全体を切除し病理検査を行い、診断とその後の治療方針を決定します。

画像検査

皮膚生検により皮膚がんの診断がつき、さらに進行がんの可能性がある場合は、超音波検査CT検査、MRI検査、PET-CT検査などの画像検査を組み合わせて、全身に転移があるかどうかを調べます。がんの中でも進行している悪性黒色腫や血管肉腫、比較的大きな有棘細胞がんなどでは、特にこの全身検索が重要です。抗がん剤治療中や、病気の進行度によっては手術を行ったあとも、再発や転移がないかどうか定期的に画像検査を行います。

用語解説
悪性黒色腫 : 色素細胞(メラノサイト)の癌化によって生じる悪性腫瘍
乳房外パジェット病 : 皮膚に分布しているアポクリン汗腺に由来する皮膚の悪性腫瘍で、乳房以外の場所に発生するもの
ダーモスコピー : 皮膚にできた腫瘍の良悪性を区別する際に用いる拡大鏡
超音波検査 : 超音波を当て、反射する反射波を画像処理し臓器の状態を調べる検査
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
MRI : 強い磁石と磁気を利用して体の内部を検査する機器
PET : がん細胞だけに集積する検査薬を体内に取り込み専用の装置で体を撮影する画像診断法。