九州大学病院のがん診療

皮膚がん

内科的治療

皮膚がんが肺や肝臓など他の臓器に転移して手術ができない場合は、化学療法や免疫療法を行うことがあります。

悪性黒色腫

これまでダカルバジンという抗癌剤を中心とした化学療法が行われてきましたが、十分な効果が得られているとはいえない状況でした。最近になって免疫チェックポイント阻害薬と分子標的治療薬とよばれる薬剤が使えるようになりました。免疫チェックポイント阻害薬は、本来体が持っているがんに対抗する力を高める薬剤で、すべての悪性黒色腫の患者さんに使えます。効果を発揮するまでに時間がかかるのですが、一度効果が得られると長い間効くのが特徴です。一方、分子標的治療薬は腫瘍細胞のBRAFという遺伝子に変異がある患者さんにしか使えない薬です。この遺伝子変異は日本人の悪性黒色腫患者さんの約30%に認められます。分子標的治療薬は治療を始めてすぐに効果が出るのですが、使い続けるうちに耐性ができ、効き目がなくなっていくことがあるため、他の薬剤に切り替えることがあります。2017年11月現在、悪性黒色腫に使用できる免疫チェックポイント阻害薬にはニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブが、分子標的治療薬にはダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブがあります。また免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬を、手術治療のあとの再発予防のために使用することがあります。

その他の皮膚がん

有棘細胞癌ではシスプラチン、ドキソルビシン、5フルオロウラシルなどの抗癌剤を組み合わせて治療します。血管肉腫ではパクリタキセル、ドセタキセル、エリブリンなどの化学療法薬や、パゾパニブという分子標的薬を使用します。メルケル細胞癌ではアベルマブという免疫チェックポイント阻害薬が使えるようになりました。皮膚悪性リンパ腫に対しては、紫外線療法を行いますが、進行した場合は、エトポシドやメソトレキセート、ベキサロテンなどの抗癌剤や、ボリノスタットという分子標的薬を使用することがあります。
用語解説
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法
悪性黒色腫 : 色素細胞(メラノサイト)の癌化によって生じる悪性腫瘍
分子標的治療薬 : 癌に関与する遺伝子や遺伝子産物を標的とした薬剤による治療法
肉腫 : 悪性腫瘍のうち、線維、血管、骨、軟骨、筋肉、造血組織などから発生するもの
悪性リンパ腫 : リンパ系組織から発生する悪性腫瘍