九州大学病院のがん診療

皮膚がん

外科的治療

手術治療のことです。ほとんどの皮膚がんにとって、最も確実で効果的な治療法です。特に早期の皮膚がんでは外科的治療で根治を期待できます。皮膚がんの種類や進行度に基づいて、病変から数mm〜数cm離して切除します。目に見えない小さながん細胞の広がりを取り残さないようにするためです。わきや足のつけ根などのリンパ節に転移がある場合はその領域のリンパ節すべてを取り除く手術(リンパ節郭清術といいます)を行います。がんを取り除いたあとはシンプルに縫い閉じるのが一番ですが、それができない場合には皮弁術(周囲の皮膚をうまく使って傷をふさぐ手術)や植皮術(別のところから皮膚をもらってきて傷に移植する手術)を追加することがあります。皮膚がんは皮膚にできるため、皮膚そのものを大きく切除する必要があります。内臓の手術であれば内視鏡やロボットを使って皮膚のキズを小さくすることができますが、皮膚がんの治療ではそうはいきません。皮膚のキズはどうしても長くなりがちですが、その分キズが綺麗に治るようにしています。キズが皮膚のしわになるべく沿うように手術をデザインし、細い糸を使って皮膚を何層にも丁寧に縫合しています。皮膚がんの種類によってはがん細胞の広がりがわかりにくいことがあり、病理検査でがん細胞を完全に取り除けたことを確認したあとで、改めて傷をふさぐ手術を行うこともあります。手術の部位や患者さんの体質によっては術後の瘢痕がしばらく固くつっぱったり赤みが目立ったりしますので、半年から1年程度テープやスポンジによる圧迫を行っていただきます。

センチネルリンパ節生検

皮膚がんの最初の転移はリンパ節にくることが多いです。触診や画像検査によって明らかにがんで腫れたリンパ節転移が見つかることもありますが、リンパ節が腫瘍細胞で大きくなる前でもごく小さな転移が生じていることがあります。以前はリンパ節が腫れていなくても転移の予防のためにリンパ節郭清術が行われていました。しかし、リンパ節郭清術は体への負担が大きく術後のリンパ浮腫などの合併症も起こるため、結果的にリンパ節転移がなかった患者さんにとっては不必要な手術だったということになります。センチネルリンパ節生検では、複数あるリンパ節の中から転移の可能性が高いリンパ節のみを選んで摘出し検査をします。センチネルリンパ節に転移がなければ、残りのリンパ節にも転移していないということになり、不必要なリンパ節郭清術を避けることができます。本当に必要な患者さんだけにリンパ節郭清術を行うということができるようになりました。検査自体は数cmの皮膚の切開でき体への負担は比較的少なくて済みます。
悪性黒色腫、有棘細胞がん、メルケル細胞がん、乳房外パジェット病では保険診療でセンチネルリンパ節生検を行うことができます。これらの疾患でリンパ節転移のリスクのある患者さんにはセンチネルリンパ節生検をお勧めしています。

用語解説

皮弁 : 血流のある皮膚・皮下組織や深部組織のこと
センチネルリンパ節 : がんの転移をおこす際に、一番最初に到達するリンパ節
悪性黒色腫 : 色素細胞(メラノサイト)の癌化によって生じる悪性腫瘍
乳房外パジェット病 : 皮膚に分布しているアポクリン汗腺に由来する皮膚の悪性腫瘍で、乳房以外の場所に発生するもの。