九州大学病院のがん診療

脳腫瘍

診断

当院では以下のような最新の診断機器と技術を駆使して脳腫瘍の診断を行っています。画像診断に関しては、放射線科の神経診断グループが担当しており、週3回の合同カンファレンスで所見を検討しています。

血液検査

脳腫瘍の中には特殊なホルモンやタンパク質(腫瘍マーカーといいます)を分泌する性質を持つものがあり、採血によりその数値が上昇していることで、腫瘍の存在を診断できる場合があります。またこれらの脳腫瘍は手術により摘出されたり、放射線・化学療法で縮小したりすると、それを反映してこれらの数値は低下しますので、治療効果や再発の目安にもなります。

髄液検査

脳や脊髄の周囲には、髄液(脳脊髄液)という無色透明の保護液が還流しています。上記のような腫瘍マーカーが、髄液中で検出される場合があり、その数値が診断の一助となります。また、悪性脳腫瘍に特徴的な髄液播種の確定診断には、髄液を採取して、腫瘍細胞の有無を確認(細胞診)します。

頭部CT検査(コンピュータ断層撮影)

放射線を用いて、頭部の輪切りの画像を作成したり、立体的な画像(3次元グラフィックス)を作成したりすることで、腫瘍の存在や広がりを診断することができます。さらに、ヨード系造影剤を点滴しながら撮影することで、腫瘍の性質を見たり、周囲血管との位置関係を見たりして、より詳細に病態を把握することが可能です。また、CTは腫瘍内の出血や石灰化を描出したり、周囲の骨(頭蓋骨)との関係を描出したりできることも特徴の一つで、脳腫瘍の診断の一助となります。

頭部MRI検査(核磁気共鳴画像)

強力な磁場を用いて、より鮮明に頭部の内部構造を画像化することが可能です。これにより正常脳組織と腫瘍との関係を詳細に描出したり、血管の走行や神経線維の走行を描出したりすることが可能です(MRトラクトグラフィー)。さらに言葉や運動に関連する、言語中枢や運動中枢などの位置を特定する画像(機能的MRI:functional MRI)まで描出することが可能です。また、ガドリニウム系造影剤を点滴しながら撮影することで、腫瘍の性質に加え、より詳細な腫瘍の広がり、周囲血管との関係を把握でき、また血流を測定する(灌流画像:perfusion image)ことで腫瘍の性質を評価することも可能です。さらにMRスペクトロスコピー(MRS)による病変部位の代謝活動を評価することも可能となり、より正確な診断が可能となりました。現在、MRIは脳腫瘍の診断には必要不可欠な検査となっています。

図1 トラクトグラフィー:
運動の伝導路を描出しています

図2 MRS:
脳内の代謝物を検出して診断します

PET(陽電子放射断層撮影)

がん細胞が正常細胞に比べてより多くブドウ糖(FDG)を取り込むという性質を利用する撮像で、CTやMRIで発見できないような全身の小さな腫瘍が見つかるため、転移性脳腫瘍の診断に役立ちます。その他の脳腫瘍では、ブドウ糖(FDG)が集まる程度を解析することで、腫瘍の性質を調べたり、放射線治療の効果を調べたりするために検査を行います。

用語解説
腫瘍マーカー : 血中濃度や尿中濃度を調べることにより腫瘍の有無や場所の診断に用いられる物質の総称
化学療法 : 化学物質によってがんや細菌その他の病原体を殺すか、その発育を抑制して病気を治療する方法
髄液播種 : 髄液の中にがん細胞が広く存在している状態
CT : コンピュータ断層法。身体の横断断層を撮影する特殊なX線装置
石灰化 : カルシウムが沈着した状態
神経線維 : 神経細胞の細胞体から伸びた長い軸索突起
MRI : 強い磁石と磁気を利用して体の内部を検査する機器
MRS : MRIの撮影方法のひとつ
PET : がん細胞だけに集積する検査薬を体内に取り込み専用の装置で体を撮影する画像診断法