九州大学病院のがん診療

脳腫瘍

Q&A

  • 脳腫瘍の症状にはどのようなものがあるのですか。
    腫瘍が大きくなれば、頭痛・吐き気・嘔吐等の症状が出現します。頭痛は特に朝方に発生し、日増しに増強することが特徴です。その他の症状は、腫瘍のできた場所によって異なりますが、痙攣発作や手足の運動麻痺、知覚障害、聴力障害、視力低下、視野狭窄、記憶力や判断力の障害、ぼけ、ふらつきなどが出現する事があります。脳には体内のホルモンを調節する部分もありますので、その障害により尿の回数が増加したり、やせや肥満などの体格の異常、月経の異常などの症状が出現する事もあります。
  • 最近、頭痛がします。脳腫瘍ではないかと心配です。どうしたら良いでしょうか。
    まずは脳神経外科や神経内科を受診し、診察を受けてください。医師は必要に応じてCTやMRIなどの検査を行い、脳腫瘍の疑いがないかを診断します。
  • 脳腫瘍の検査にはどのようなものがありますか。
    最も重要な検査はCTやMRIなどの画像検査です。多くの腫瘍では通常の血液検査で異常が見つかりませんが、まれに腫瘍マーカ−と言われるタンパク質や特殊な体内ホルモンが増加している場合があります。
  • 脳腫瘍の治療には、どのような治療がありますか。
    腫瘍の性質やできた場所によって治療法は異なりますが、手術療法と放射線療法、化学療法の中から最適なものを選択します。一般的には、まず手術で腫瘍を摘出し、確実な診断をつけることが重要です。しかし、脳の深部や重要な機能を持つ場所では、腫瘍の完全な摘出が難しいことがあります。このような場合は、必要に応じて放射線治療や化学療法を追加します。悪性腫瘍の場合は腫瘍が十分に摘出されていても、放射線治療や化学療法を追加する事が必要です。
  • 脳腫瘍の手術療法について教えてください。
    通常、全身麻酔をかけて開頭し、腫瘍を摘出します。この際、脳の機能を温存することが非常に重要です。新たな神経症状が出現する可能性がある場合は、無理な摘出を行わずに、部分摘出にとどめることもあります。また、組織診断を目的に生検術や内視鏡手術を行うこともあります。
  • 脳腫瘍の化学療法にはどのような方法がありますか。
    化学療法は、主に悪性脳腫瘍に対して行われます。悪性脳腫瘍は非常に多くの種類があり、その組織に応じて選択される化学療法が全く異なります。専門の医師とよく相談して治療を選択する必要があります。通常、入院して行う事が多いのですが、副作用が少ない薬の場合、外来での治療が可能な場合もあります。
  • 脳腫瘍は放射線で治療できますか。
    放射線で治療することが可能な腫瘍もありますが、ほとんどの場合は手術療法や抗癌剤による化学療法など他の治療と組み合わせることが必要で、放射線単独で治療することはまれです。
  • 乳がんが脳に転移しました。どのような治療がありますか。
    転移性脳腫瘍に対して抗癌剤はほとんど効果がないため、一般的に手術治療と放射線治療が行われます。手術治療は、転移した腫瘍の数が少なく、全身状態が手術に耐えられるくらい良い場合に行われ、それ以外の場合は放射線治療が選択されます。放射線治療にも通常の放射線治療に加え、最近ではガンマーナイフ、サイバーナイフなどターゲットをしぼり局所だけに照射する方法が、用いられるようになってきていますが、それぞれ長所と短所があります。
  • こどもの脳腫瘍について教えてください。
    脳腫瘍は、小児の腫瘍の中では白血病についで多い腫瘍であり、大人に発生する脳腫瘍とは好発部位と症状、組織型などに違いがあります。こどもでは大人と違い、頭痛や吐き気、手足の脱力などの局所症状の訴えができないために、食欲がない、なんとなく元気がないなどの症状で見つかることがあります。こどもに発生しやすい脳腫瘍としては星細胞腫、胚腫、頭蓋咽頭腫などがありますが、それ以外にもいろいろな腫瘍ができることがあります。
  • 脳腫瘍は遺伝する病気でしょうか。
    ほとんどの場合は遺伝することはありませんが、まれに遺伝性の疾患に合併することがあります。